映画、見てます。
現在うつ病がまた再発してしまい、休職中なんですが、うまく動けなかったり外に出られなかったりするので、家で家事をしながら動けなくても何か外のものを摂取するというのに映画は無茶苦茶消費カロリーが少なくて助かっている。
空っぽにしておいておいたら、ただただ落ち込んでいくだけで6時間とか経過していたりするからビックリするけど、映画とか本とかを読み込んでいる最中はそういったモードに入りづらい(少なくとも私はそういうタイプ)ため、サブスク無双しています。
映画、いいよね。
そして本、読んでます。
毎日ちょっとずつ読み進めたり、他の本に目移りしながらも漫画や小説やら読んでいます。
Kindleだったり紙の本だったり、物によって読みやすい方を選んだりして読んでます。
本、いいよね。
というわけで月毎とかで読んだ本や見た映画をざっくりと振り返っていく記事を書くことにした。
私は見たメディアの記録をそれぞれアプリで管理している。
読書の記録は「読書メーター」
https://bookmeter.com/users/313027
映画の記録は「Filmarks」
https://filmarks.com/users/Konis620
ベッタベタの王道アプリです。
読書アプリは人によってばらつきがあるかもしれないけど、Filmarksは結構みんなやっていて良いよね。
そんな二つの記録をSNSにも共有投稿していたりもするんだけど、ブログではその月毎とかで定期的に振り返ってもいいなと思ったので、まとめてザザーっとさらっていきます。
それぞれのアプリに書いた感想プラス、これを書くにあたって思い出したこととかも追記していきます。
映画『ルックバック』 監督:押山清高

病院に行く時くらいしかちゃんと外に出られていないんだけど、そんな中で頑張って映画館まで行って見れた。
そんな今の状況もあってとんでもないくらい喰らってしまった。この作品については漫画も含めて改めて一本記事を書くと思います。
原作漫画も創作において何かをし続けることの原点を眩しいくらいに描いた傑作だったが、映画も間違いなく傑作だった。
藤本タツキによって精細に取捨選択された行間のある描き方は漫画の旨みを全面に出したやり方だけれど、映像化でその味が失われる事なく、むしろ映像化によって色濃く出る一面がまた観れたことに感動した。
漫画で読んで「あのシーン良かったな」というところが映像になってもすごく良いのはもちろん、漫画ではそこまで印象に残っていない何気ないシーンが映像にされることによって輝いているところも多々あって嬉しくなった。
本当にすべてが最後の「なんで描くの?」のあとのカットに凝縮されていた。
また、最初に漫画で触れたときは藤野の方へ「生き残り(残され)作る人」という立場に感情が持っていかれたりしていたが、現在は私自身がまたうまく外に出られない状態になってしまっていることで京本が感じた外からの感動、そして連れ出されることの輝きが身を沁みるように伝わってきて暴れ出しそうになりました。
ほんと改めてこの作品だけの記事を書きます。
映画『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』 監督:ダニエルクワン,ダニエルシャイナート

流行りのマルチバース、といった感覚を持ちそうになるが、しっかり面白いし抜群にエンタメしている映画だった。
親子関係という無茶苦茶身近でミクロな問題を、マルチバースというマクロな設定で解体していくという時点ですでに魅力的なんだけど、その上でこの親子が出した結論というのも古臭い灰汁のようなものを感じない締め方でよかった。
マルチバースの壮大さに対して映像のクオリティが追いついてないなんてことも全くなく、アトラクション的な満足度も高かった。アクション映画のオマージュもあったりしたし、またいつか見返しても楽しいだろうなと思う。
小説『箱男』 作:安部公房

久しぶりに再読。安部公房、大好き。
今年は安部公房生誕百年ということで文庫化されていなかった作品が新潮文庫から文庫化され、嬉しい限りである。
『飛ぶ男』も未完ながらも「これが完成していたら…!」と興奮させてくれる作品だった。
閑話休題。本作はミステリーでは多用される「信頼できない語り手」の延長のように見えるが、より複雑な語り(書き)手で進んでいくメタトリップ感がやはり不気味で面白い。
箱男の書記という形で綴られるが、妄想なのか実際の記録なのかという不安定だけでなく、書記を取る人物のすり替わりなども匂わせる事で、物語内のだけでなく、書き記す事自体の「見る/見られる」関係性まで逆転したり侵食してくるのが活字だからできるアプローチで痺れる。
映画化も発表されているので、なんだかんだ楽しみです。
前提として「仕組みとして映像化は無理だろ」という作品なので、逆にどんなものができても距離を置いて楽しめそうな気がするので。
この作品も改めてこれだけで記事を書きたい。
小説『密会』 作:安部公房

再読。
『箱男』で描かれていた“覗き”に対して、本先は盗聴される侵入者として物語が動いていく。
現代都市の檻のような構造を病内に置き換えてながら、その権威とじっとりとした性への執着は安部公房らしいさっぱりとした仄暗さがあった。
目的もった侵入者がその道を見失っていく狂気『燃え尽きた地図』でも描かれていたが、本先では“盗聴テープを聞く”というギミックがその奇妙さも撹拌されてきた。
全てが録音されていて、それを書記として書き起こすことで、ログ(そしてさらにそれのログ)が現在と距離を離していくという構造が無茶苦茶興奮した。
自分の制作でもこういった仕組みを試したくなって仕方がない。
批評『考える水、その他の石』 著:宮沢章夫

演劇の批評がメインになる本書だが、作品自体の細々とした要素を拾い上げるのではなく、転々と寄り道をし続けるような展開の仕方が飛んでいて楽しい。
悪ふざけのような広げ方もするけれど、常に地に足がついているような信憑性が宮沢章夫にはある。
もういった真剣な不真面目さを追いかけていくべきだなと思い知らされた。
演じることのジレンマについて最近手に取っていたバタイユの引用もあり少し感動した。
それにしてもタイトルが良い。
ずっと積んでいた本なんだけど、私のネットでのアカウント名「その他」はもしかしたらここから来ているのかもしれない。(特にどこかからの引用とかは考えていなかったけど、なんかいいフレーズだなという刷り込みがあったのかも、という意味)
漫画『君と宇宙を歩くために』〜2巻 作:泥ノ田犬彦

泣いてまう。
1巻を読んだ時の感動もあるけれど、それ以外の登場人物もそれぞれに持つ歪みというか、特性というか、欠陥みたいなものをポジティブさと同時に描いていいて、なんだか安心させてくれる。
ゆっくりじっくりと自身の欠如と充実を噛み締めていく。ただそれだけの物語なんだけど、ただそれだけがどれほど難しいことか。
漫画『日本三國』〜5巻 作:松木いっか

どんどん面白くなる。
計略で勝つ!という本筋は勿論だけれど、W主人公の関係性や平殿器の技量でも惹きつけてくる。
胸糞噛ませ犬っぽい感じで出てきた敵がこんなクレバーに立ち回ってくるとは思わなかったから、今の厄介さが本当に憎たらしい。
けれど平殿器も肝の座った図太さというか、人望があるのもちょっと理解できるような感じがちゃんと魅力的でいい。
ここまでは郭の頼もしさこそが輝く展開が多かったけれど、ここからは主人公たちの番なので本当にワクワクする。
映画『MIND GAME マインドゲーム』 監督:湯浅政明

見る快楽、聴く快楽が詰まった爆速人生コメディ。
湯浅政明作品の美味しいところをとことん詰め込んだみたいな気持ちよさがずっと続いてたまらなかった。
実写を織り交ぜたアニメーションであったり、芸人を起用したコテコテ方言の主人公とか、今ではたまに見た入りするような要素がふんだんに試されていて本作の実験作としての格(というよりも好き勝手さ)が節々に感じられる。
カーニバルシーンとかたまらなかった。また見たいな。
映画『犬王』 監督:湯浅政明

湯浅政明の集大成作品なのではと感じられるくらいに、今までの作品で繰り返しやっていた「歌い、舞い踊る」が物語の中心となった作品。
平家物語として語り継ぐ中からこぼれ落ちた魂を救うために歌って踊る!という体ではあるけど、主人公の犬王は信念的なものから彼らを救っているのではなく「俺がこいつらの声聞こえるから歌ったんねん」くらいのライトさでいるのがカッコよかった。
そして犬王役のアヴちゃんがムッチャクチャかっこいい。
的役も的役。このハマり方は『この世界の片隅に』ののんくらいの衝撃だった。
漫画『それでも天使のままで』 作:小骨トモ

大名作「リカちゃん先輩の夢をみる」が収録された短編集。
この作者は前作の短編集『神様お願い』で度肝をぶち抜かれてから次の作品を待ち侘びていたので、また新しい作品が読めて本当に嬉しい。
心の奥底を掬って出てきたドブの汚れみたいな中から、1ミリの輝く砂金を煌めかせるような、そんな描写がどの作品でも秘められていて震える。
内省の発露の恐ろしさをここまで描き切ってくれる(しかもテキストだけではなく、とんでもなくカッコいいガロ的漫画描写で!)のが本当に魅力的な作家だと思う。
小骨トモさんの作品については『神様おねがい』『それでも天使のままで』を合わせてどこかで一本記事を書きます。
映画『青春デンデケデケデケ』 監督:大林宣彦

田舎の学生たちがベンチャーズに衝撃を受けて、コピーバンドをする。ただそれだけの話。
だけどバンドを始める時の「あったあった」という感覚が炙り出されていてすごく心地よかった。
気づいたらギターを手に取ってベンチャーズのフレーズを弾いていた。
映画『容疑者、ホアキンフェニックス』 監督:ケイシーアフレック

当時の騒動や放送事故同然の生放送などを肌感として全く知らないから、この映画の一番美味しいところを味わえないのが悔しい。
現在ではジョーカー役の怪演が大ヒットした役者として有名な彼だが、実は一度「俺、役者辞めてラッパーになります!」と言って世間を騒がせていたそうだ。しかもそれは全てこのモキュメンタリー作品のための演技だったのだからすごい。実際に引退してラッパーとして活動中にでたテレビの生放送の様子とか、ラッパーとしてあまり成功できずに荒れていく様子とか、多分本人もどこまでがリアルなのか企画なのかわからなくなるラインを往来していたんではないかと思うくらいだ。
当時の騒ぎやその仕掛けを知らなかったら「役者を辞めてラッパーになったはいいものの鳴かず飛ばずで落ちぶれていくだけの話」でしかない。
というよりも、そういうドキュメンタリーとして見れてしまうという時点でこのモキュメンタリーは企画として成功しているのかもしれない。
映画『ANIMA』 監督:ポールトーマスアンダーソン

トムヨークの長編MV。
トムヨーク自身が思ったより演技をしていて面白かった。踊ったりすんねや。
ただ演出のアプローチが映画的というよりも舞台っぽいような気がした。もしかしたら舞台作品として制作していたのだろうか…?
そんなことも思うくらいには舞台装置による演出が大きかった。ここまでの仕掛けじゃなくても、それを実際にステージでやってのけたのがトーキングヘッズのデヴィッドバーンなのだから、やはり彼はすごいなと再確認した。
映画『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』 監督:古賀豪

しっかりエンタメアニメでありながら、水木しげるのバックボーンが組み込まれていたり、『墓場鬼太郎』1話に繋げてくれたりと嬉しくなる要素が多かった。
鬼太郎のアニメ、チラッと見てたなぁ。実家にあった『墓場鬼太郎』を初めて読んだ時は、思っていた鬼太郎と違いすぎてギョッとしたのを思い出した。
映画『二重生活』 監督:岸善幸

長谷川博己とセックスする流れになったら興醒めだなと思っていながら観ていたら本当にそうなって笑ってしまった。
けれど主人公の陳腐さを「陳腐だ」とハッキリと切り捨ててからの展開は、観察者と被観察者の相互的な関係を映像的にも押し出してきて面白かった。
本当に主人公は空っぽで、受け身で、自身では秘めた内面の秘密だと思っている暴露も本当につまらない。けれどもそれを真っ向から長谷川博己が「陳腐でつまらん」といってくれたおかげで、「ああ、この主人公は陳腐な存在に見えていいのか」と安心できたのが大きい。
誰かを覗き見することで見えてくる背景と同時に狭まる視野。覗き穴はその向こう側を移すと同時に、それ以外を視界から覆い隠してしまう。
そんな関係性を描く登場人物の抱える不信感や秘密に当て嵌めながら群像的に見せる後半はとても好きだった。前半がつまらなすぎたのかもしれないが。
映画『DEATH DAYS』 監督:長久允

星新一的な設定を星新一的に簡潔に展開していく気持ちよさがあった。舞台っぽい画作りだけど編集の軽快さとかエンドロールの開放感とかが映画らしくて好きだ。
『ヒメアノ〜ル』ぶりに森田剛の演技を見たけど好きなのでもっと観たい。
誕生日と共に命日が決まっているという設定がすでにドラマの可能性を持ちまくっていて、いいアイデアだなと思った。
これが寿命がわかるとか、何歳まで生きられるとかいう設定だと割とよく見るんだけど、日付だけ決まっていて、それが今年か来年か十年後かわからない。それで生まれる1日だけの緊張感って本当にいい設定だな。
漫画『アンダーニンジャ』〜7巻 作:花沢健吾

『アイアムアヒーロー』で感じていた、花沢健吾が描くアクションシーンでの"音のなさ"は、むしろ違和感に近いような、はたまた不気味さに貢献しているのかなんとも独特だなと思っていたけれども、それが全てこの作品では"忍者的無音のテンポ感"に昇華されているような感じがして感動した。
ガジェット好きにはたまらない。それぞれの設定や出てくる小道具、暗号、全部ワクワクする。
こんなにファンタジーさせすぎずに忍者ど真ん中でちゃんとやってる忍者まんが、初めてじゃないですか…?
アニメも見なくちゃだ。
映画『ディック・ロングはなぜ死んだのか?』 監督:ダニエルシャイナート

『スイスアーミーマン』の監督と知って納得のシリアスギャグ。謎が解けるほどコント色が濃くなっていく。
本当になんなんだよ。愛すべき馬鹿映画です。
見進めれば進むほど馬鹿馬鹿しくなっていく。けれどもそれに比例して登場人物たちはシリアスになっていく。この乖離していく距離をギャグとして楽しめるかどうかでギャグ映画かカス映画化でバッサリ分かれると思う。
映画『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』 監督:細田守

サマーウォーズの元ネタとして有名だったがやっと観た。
ざっくりシナリオとデジタル世界の描写はまさにそのまんま。
緊張感があまりない代わりに、物語がハイテンポに展開していくので小気味が良かった。
この二作のちょうど中間を観てみたい。
映画『ドラゴンタトゥーの女』 監督:デヴィットフィンチャー

物語が動き出すまでがとにかく長いけれど、それでも見せ続けてくれるルーニーマーラ。
ミステリーとしても、クライム映画っぽい暗躍のワクワク感も味が濃かくて良かった。
有能なキャラクターが爆速で仕事をこなしていくのってやっぱりかっこいいよね。
映画『カラオケ行こ!』 監督:山下敦弘

情報が出た時はビジュアルのイメージに違和感を感じていたけれど、実際は原作より設定にそったナチュラルさで調整されたような感触で良かった。
綾野剛のアウトロー慣れは言わずもがな、斎藤潤の演技のトーンや声変わり中の歌声などは期待を大きく上回ってきて無茶苦茶満足しました。
紅を掘り下げる改変は粋だなと思ったら、脚本が野木亜紀子だった。信頼。
(ちなみに『犬王』の脚本も野木亜希子だった。信頼。)
映画『フリーガイ』 監督:ショーンレヴィ

コメディをサクッとみようと思っていたら無茶苦茶丁寧に作ったエンタメ映画で感動した。
パロディの仕方も粋だし、本軸以外のところも美味しいところが多くて満足度が高い。
未設定のセリフのくだりがずっと面白い。
令和に作られたゲーム版トゥルーマン・ショーって感じだけど、聞いたことある設定で見たことある映画になっていないのって結構難しいことこなしているんだろうなと思う。
映画『クーリエ:最高機密の運び屋』 監督:ドミニククック

ベネディクトカンバーバッチの演技がとにかく良かった。
ベラベラと捲し立てる役柄の印象が強かったけれど、芯のある軽妙さを持った人物でも魅せてくれた。
振り返るとバレエのシーンがじんわりと沁みてくる。
こういった実話をもとにした映画で最後に本人映像が出たり、その後の彼についてのテキストが出てくるのってちょっと嬉しくなるよね。
映画『ファーゴ』 監督:ジョエルコーエン

三谷幸喜の書くドタバタ連鎖コメディが全て血みどろに変換されたような変な映画。
「そうはならんやろ」「なっとるやろがい!」が全部出血を伴う形で起き続ける感じ。もはや笑ってしまう。
シリアスの皮をかぶったギャグなのか、ギャグの皮をかぶったシリアスなのか惑わされるのが案外楽しかったが、最後のかき氷のエグさはちょっと体調が悪くなった。
まとめ
結構見てた。
この期間で見た作品でそれぞれ一番印象に残っているのはこんな感じ
【6月〜7月前半のお気に入り作品】 映画『ルックバック』 漫画『それでも天使のままで』 小説『密会』
世の中、むちゃくちゃいい作品や楽しい作品が大量にあって嬉しいですね。
そうじゃないものいっぱいあるから尚更楽しい。
それではまた7月後半に見たものをまとめる記事や、今回羅列した中からピックアップしたくなった作品の集中記事などで。
