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一人でもゲームはまだまだ面白い -『メトロイド ドレッド』について-

2023年2月23日

私はゲームをするのが好きだが、いわゆる"ゲーマー"というほど多くのゲームに触れていない。

そして毎日必ずゲームをするというわけでもない。
多くの趣味の一つとしてゲームを楽しんでいるという程度で、ゲームが好きだ。

以前スマブラについての記事を熱く書いたが、やはり本当にやり込みまくっている人と比べてしまうとどうにも劣る。

最近だと『スプラトゥーン3』や『Apex Legends』がとても楽しいが、やっぱりそちらもしっかり楽しんでは入るものの、Twitterなどで見る他の人の圧倒的なやり込みを見ると、自分の楽しみ方はボチボチだなと思い知らされる。

時代は気付けばYouTubeにのまれ、ニコニコ動画時代はネットの片隅活動であった「ゲーム実況者」という層も、莫大な数となった。
プロゲーマーという職業も、昔よりもずっと認知されるようになり、今はまだスポーツ選手までとはいかなくとも、多くのファンがついて応援されている。

ゲームをやりこんだり、それを配信したりすることが、生きるための活動として公に認められているのだ。

気付けばYouTubeでゲーム実況を覗いてしまうし、知っている配信者同士がコラボするだなんて動画も多い。

私もよく友人と通話を繋ぎながらゲームをする。
知らない間にゲームはコミュニケーションが前提になっていて、ゲームも面白いけれど、ゲームによって生まれるコミュニケーションを楽しんでいる節もある。

気付けば、私は昔あんなに楽しんでいたゲームボーイアドバンスやDSのゲームのように、一人でひたすらにゲームと向き合いやり込むという遊び方を随分としていなくなっていたのだ。

そんな中で2021年6月。あほ面でYouTubeをみていた私に衝撃が走った。

メトロイドの新作が出る。

え〜〜〜〜〜!!!!!
うれし〜〜〜〜〜!!!!

メトロイド2Dシリーズ19年ぶりの新作発表

任天堂ダイレクトをみてバチクソテンションが上がってしまった。

私はゲームボーイアドバンスで出ていた前作『メトロイド フュージョン』をめちゃくちゃやり込んでいた。
『フュージョン』の発売からは19年ぶりの続編だ。

メトロイドシリーズはゲームキューブの頃からFPS視点でプレイする、ガンシューティング要素の強いシリーズとして『メトロイド プライム』というものが3作でていた。

そして過去の任天堂ダイレクトでも、『メトロイド プライム4』の制作進捗についての報告がされていたため、完全にメトロイドはプライムシリーズに舵を切り、懐古的な2Dアクション路線での新作はないと思っていた。

そんな中で急に新作発表だ。

無茶苦茶ビビった。
スマブラにバンカズ参戦したときくらい声が出た。

メトロイド ドレッド [Nintendo Direct | E3 2021]

かっこいい〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

2Dアクションでのメトロイドシリーズは『フュージョン』でストーリー的には完結させることもできる流れだったため、またこの視点で動くサムスが見られるとは思わなかった。

私はもうスマブラで弾をちまちま撃って、着地をボムで誤魔化して、長すぎる掴みで上投げバーストするみみっちいサムスしか見ていなかった。
空中を飛び回りながら、多くの武器を次々に手に入れ、敵を蹴散らしていく銀河の最終兵器ともいえるサムスにはもう会えないかとすら思っていた。

マップを探索しながら装備を取り戻していくあのメトロイドがまた出来る!

しかもこのトレーラーに出てくるサムスだが、パワードスーツのデザインが新しくなっている!
サムスのスーツは元々超文明も持った鳥人族によって作られたサムス専用のものなのだが、前作の『フュージョン』にて寄生擬態生命体Xの侵食によってサムスの身体と半融合したバイオスーツと化している。

このスーツの節々にある青い筋繊維のようなデザインがそのバイオスーツ化を物語っているようで、私はより一層興奮した。
やっぱり『フュージョン』の続きが見れるんだ…!と強く思えるディティールだった。

『フュージョン』の完成度の高さや満足感が忘れられない私は胸を躍らせながら10月の発売を待つのだった。

『メトロイド ドレッド』を買おうとする

私は初回盤のブックレット付きのものを購入するかどうかを悩んでいた。

しかし同時にamiiboにも強く惹かれていた。

amiiboというのは、任天堂が出しているSwitchとの連携機能付きのフィギュアだ。
最近のamiiboはとても完成度が高く、1500~3000円程度で買うことができるため、シンプルにグッズとして楽しむことができる。
そしてその上内蔵しているICチップを読み込むことで、ゲーム内で特典(amiibo限定の装備がもらえたりするゲームが多い)があったりする。

https://store-jp.nintendo.com/list/hardware-accessory/amiibo/NVL_E_AR2B.html

かっっっこい〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!

無茶苦茶ほしいが、これは2体のセットなので4000円くらいする。

最新版スーツをきたサムスと、今作で新登場する敵であるE.M.M.I.のセット。
無茶苦茶かっこいい。

トレーラーでもわかるように、E.M.M.I.はマップ内でサムスを追跡して、捕まってしまうと即死という存在のようだ。

『フュージョン』でもE.M.M.I.同様に倒せない敵キャラが存在したことを思い出す。
それはフルカスタム状態のサムスの全装備を完全にコピーした寄生擬態生命体X、通称SA-Xだ。
お約束通り装備を全て失っている状態のサムスは、フル装備のSA-Xに勝つことはできない。
序盤でマップを徘徊するSA-Xに遭遇してしまった場合、ひたすらに逃げることしかできず、もし逃げ切れなかったらビームやミサイルで滅多撃ちにされてやられてしまう。
なのでSA-Xに対抗し得る装備を取り戻すまでは、奴に遭遇してしまっても隠れたり、全力で逃げたりしないといけないのだ。

あのときのような緊張感がまたアップデートされて導入されていると思うとワクワクが止まらなかった。

悩んでいるうちにあっという間に発売日になってしまい、「グッズだなんだと悩む以前に俺はゲームがプレイしたいんや!!!!」と当たり前のことに気づき、ダウンロード版で購入を決めたのだった。

『メトロイド ドレッド』をプレイする

メトロイドの"上乗せ強化"にテンションが上がる

基本的な操作は『フュージョン』の時から変わらない。
2Dアクションのゲームなのでさほど繊細な操作が必要ではないのもとっつきやすくて良い。

メトロイドシリーズは、ジャンプ/ビームショット/ミサイルなどの少ない装備からスタートし、次第に装備を取り戻していくことで、特殊なビームや隠し通路を通るモーフボールなどの能力が解放されていく。
マリオのように次のステージへ進んでいくのではなく、広いマップを何周も回り、装備を増やすことで行けなかった場所にも行けるようになるというシステムだ。「メトロイドヴァニア」とも呼ばれるこの探索システムはメトロイドから名前が引用されている通り、本シリーズから生まれている。

メトロイドのアクションのいいところは、他のゲームのように新装備を手に入れた際に装備武器を自分で切り替えたりする必要はなく、自動的にサムスの行動に上乗せされていくというところだ。

例えば、攻撃範囲の広いワイドビームというものを手に入れると、通常のビームショットがデカくなる。
そしてその後にプラズマビームという貫通弾を手に入れると、攻撃範囲が広い上に貫通効果付きのビームショットになるのだ。

用途ごとに尖った性能の武器を切り替えて使う、ロックマンのようなシステムもそれはそれでそういう面白さがあるが、サムスの場合は違う。
ガンガン上乗せされていく。操作は基本的に最初からずっと変わらないまま、サムスの全行動が強化されていく気持ちよさがある。

チャージすらできなかったビームショットは、チャージが可能になり、範囲が広がり、敵を貫通し、地形も貫通するようになる。
数発しか打てなかったミサイルは、威力もあがり、敵を凍らせる事ができるようになり、敵をロックオンして自動追尾ができるようになる。

銀河の危機を単独任務で解決する、最強の戦士であるサムスの"本来の強さ"がどんどん取り戻されていくという興奮がここにあるのだ。

「メレーカウンター」という新システム

実際は3DSででていた『メトロイド サムスリターンズ』にて登場した機能だが、『フュージョン』ぶりの私としては完全に新機能だった。

この「メレーカウンター」は敵の物理攻撃を弾いてスタンさせるという行動だ。
ダッシュ中やスライディング中に行うことで、スピード感は損なわない上に、そのパリィのような動作が変化するのもかっこいい。

サムスといえばビームやミサイルを撃ちまくって中距離で敵を潰していく印象があるかもしれないが、このシステムのおかげで敵に接近してメレーカウンターでぶん殴ってからビームで倒す、というスタイリッシュな仕留め方ができるのがとても気持ちがいい。

ボス戦などでも苦戦していた時なども「もしかしてあの技メレーで弾ける…?」と気付き、バシバシとカウンターを決めて快勝した時は「俺ってゲームうまいのかも!!!」とはしゃいでしまうくらいの爽快感だ。

ギミックや敵の弱点に「自分で気付く」という快感

上記にもあるように、敵の攻略などで「この壁のギミックを使えってことか?」「あの技にメレーカウンターを合わせられるんじゃないか?」「パワーボムで弾幕を消せたりしないか?」と自分で気付いて強化された能力を試行錯誤するのが本作の醍醐味だ。

また、本シリーズのマップは、壁に阻まれた向こう側も表示されるため、「あそこに行きたいけれど何処から行けるのか」というソワソワ感が常に付きまとう。
ここが同じ2Dゲームでも単純な横スクロールゲームと大きく違うところだ。

「どう考えても全ての行ける場所に行き尽くしたのに、進めねー!!!わけわかんねーー!!!」

これがクリアまでに2,3回程、いや4,5回ほど起こる。
完全に詰んだじゃんかと不貞腐れることになる。
しかし、探索ついでに未回収のアイテムを探したり、見つけてはいたが装備的にまだ取れなかったアイテムを取りに行ったりと、やることはあるので、積んでも「やることないじゃん」とは中々ならないという隙のなさもスゴい。

そして見落としていた隠し通路などのギミックに気付いた時は無茶苦茶反省する。

「これは見落としてた俺が完全に悪いです……」

これになる。
ごめんなさいってなる。
無理だろこれってブチギレていたのに「そういうことね〜〜〜〜」とニコニコしてしまう。

完全に開発者の掌の上である。

気付けるようにうまく作ってくれているのに、あたかも「自分自身の推察の鋭さで隠し通路を見つけた」みたいな気持ちよさを用意してくれている。
ありがとう、任天堂。

ストーリーもさらに進み、"メトロイド"の意味が変化していく

この段落は作品ストーリーの具体的なシーンなどに触れていきます。
作品をプレイ予定の方は次の見出しまでスクロールをお勧めします。

よくある勘違いとして、作品タイトルのせいでサムス=メトロイドだと思っている人がいたりする(スマブラのおかげでその印象もだいぶ薄まったが)

『ゼルダの伝説』の主人公はゼルダではなくてリンクだし、『AKIRA』の主人公はアキラじゃなくて金田だ。
同様に本シリーズの主人公はメトロイドではなくてサムスだ。

作中に登場する「メトロイド」という生物は、クラゲのような見た目をしていてありとあらゆるエネルギーを吸収して増殖し続ける恐ろしい生命体だ。

メトロイドは危険生物とされ、サムスによって討伐されたり、そのパワーを巡って戦いが巻き起こったりしていた。

けれども、物語が進むにつれて、メトロイドは殲滅され、唯一残った一匹の幼体(通称ベビー)も最期を遂げる。
本体全滅後もメトロイドワクチンとしてサムスの命を救ったりなどもするが、メトロイドという生命体はもう宇宙に存在しなくなってしまうのだ。

しかし、『メトロイド フュージョン』にて、寄生擬態生命体Xの天敵がメトロイドであったことがわかる。
天敵のメトロイドが滅んだことによって、新たな宇宙の脅威となったXを討伐するには、メトロイドワクチンによってXに抗体を持つサムスだけ…

というのが前作までのサムスとメトロイドの関係性だ。

本作ではその「全宇宙でメトロイド細胞を持つ生体はサムスだけ」という点から鳥人族の陰謀に巻き込まれていく。

エネルギーを吸収するという能力をメトロイドから引き継いだサムスがどんどん強くなるわけだが、あの最後のE.M.M.I.との戦闘が始まると思いきやサムスが勝手に倒してしまうという演出はゾッとした。

自分がサムスを操作しているという感覚で進んでいたのに、サムスが強くなりすぎることでプレイヤーの制御外まで強くなってしまったような衝撃があった。

実際作中でも強くなりすぎたサムスは自身の身体に住まうメトロイド細胞の覚醒を制御しきれず、化け物のような強さまで成長してしまう。
あのボーナスモードのような状態で、お決まりの脱出をさせられるとは思わなかったので、その興奮も重ねがけでラストは手汗でびしょびしょだった。

最終的には鳥人族の擬態Xを取り込むことでメトロイド細胞の制御も可能になったわけだが、かくしてサムスが宇宙で唯一の"メトロイド"でもあるというオチには膝を打ってしまった。

メトロイドの討伐任務、そしてメトロイドとの信頼関係、メトロイドによる救命、最後は融合したメトロイドの覚醒。
サムス=メトロイドではないと書いていたが、本作を持ってして、サムス=メトロイドに成ったのだ。

まとめ

もう数日間ぶっ続けでプレイをし続けて、一気にクリアまで進めてしまった。

この充実感たるや。

複数のボタンの同時押しなどを強いられるが、基本的にはシンプルな操作のゲームなので、プレイすればするほど操作が上達している感覚も直感として味わえて良かった。

ここ最近ゲームといえば通信による対戦ゲームばかりやっていて、一人でゲームの攻略を目指してしっかりプレイするという向き合い方をすっかり忘れてしまっていた。

RPGやホラーゲームなども実況動画が溢れる今、"誰かとやっている感覚"というのがゲームとセットかのように思っていたけれど、実際はそうとは限らない。

一人で広いマップを探索し続け、敵の強さなどに声をあげたりするあの興奮が今でもとんでもなく私たちを楽しませてくれるのだった。

スマブラやスプラのレート戦に少し疲れていた私は『メトロイド ドレッド』にゲームは一人でもこんなにも面白いんだという当たり前のことを思い出させてもらった。

もしメトロイドをやったことがない人がいれば是非プレイして見て欲しい。

FPS視点の『プライム』シリーズも楽しみに待とうと思う。

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