ゲーム

僕らはスマブラと共に大人になったから、スマブラでいつでも子供になれる-『大乱闘スマッシュブラザーズ』について-

2023年1月2日

誰もが知る大人気ゲーム、大乱闘スマッシュブラザーズ。

任天堂オールスターズというキャッチコピーがもう懐かしい。現在では任天堂以外のキャラクターも巻き込んでいる。
それぞれの名作ゲームを代表するキャラクターが総動員してバトルができるゲームだ。

このゲームはもう随分と長い歴史を持っている。

私が幼稚園だった頃、友達の家でみんな集まり、64でスマブラをしていた。
小学生の頃もまた、友達の家に集まりゲームキューブでスマブラをしていた。
中学生になってもやっぱり、友達の家に集まりWiiでスマブラをしていた。
高校生になった私は北海道で寮生活を送る事になったため、あまりゲームはしなくなったが、それでも3DSでスマブラが出た。
大学生になったら、今度こそ友達の下宿先に集まりWiiUでスマブラをした。
そして今、みんながそれぞれの場所でそれぞれの人生を送っているが、Switchでスマブラをしている。

思えばスマブラを買って自分のゲームとして遊べたのは『スマブラSP』(Switch)が初めてだったかもしれない。

だというのに、私はずっと友達とスマブラをしてきた。

こんな私でもスマブラが好きなのに、ずっとハードもソフトも持ってプレイしてきた人はもっと深い愛があるだろう。

こんなにプレイ人口が多く、広い年代に同じように愛され続けるシリーズが他にあるだろうか。
もちろんドラクエ、FF、ポケモン、ゼルダなどの多くのゲームも広く、今なお愛されている。
しかしスマブラのすごいところは、それらのゲームが全てこのゲームに集まり、それぞれの愛でさえ内包されているところだ。

シリーズを通してディレクターを務めてくださった桜井さん、本当にありがとう。

改めてこのスマブラというゲームとの思い出や、やっていて何が嬉しいかっていうところを掘り起こしていきたいと思う。

スマブラの歴史

ニンテンドウオールスター!大乱闘スマッシュブラザーズ

記念すべき初代スマブラが発売されたのは1999年だ。

ハード機はNintendo64での発売。

任天堂が初の3Dゲームとして出した次世代気になる。
実際次世代機とはいったものの、発売当時の1990年代後半となると、すでに光ディスクの導入が進んでいるハードも他社で出ているため、最先端技術の結晶といったイメージとは遠いものだった。

PlayStationの国内発売が1994年、PlayStation2は2000年発売だったということも64の売り上げに大きなダメージを与えただろう。
(しかもドラクエやFFといったシリーズはPSでの発売だった)

しかし、そんな中でもスマブラは64ソフト売り上げ数ランキング2位の約197万本を成し遂げる。

画期的なバトルシステムで、任天堂のキャラクターが大集合して操作できるというコンセプトはそれ以降も大きな存在として残り続けるのだ。

ディレクターの桜井さんが出していた企画解説の動画でも語られていたように、当初は「任天堂オールスター」という点がメインコンセプトではなく、「敷居が高くなった格闘ゲームに、新規参入のしやすいゲームシステムを提示する」という点がメインだったようだ。

ついつい豪華なキャラクター陣に目が行きがちだが、やはりスマブラをプレイしたり観戦していて面白いのは、逆転性やアドリブ性などの読めない試合展開だ。そこに軸を置いて設計されているからこそ、次回作以降にどんどん増えていくキャラクターをそのシステムに乗っ取って触っていくことに飽きずにいられるのだろう。

大乱闘スマッシュブラザーズ 【企画コンセプト】

今思えば、三本脚のヘンテコなデザインのコントローラーでよくあんなに遊んだものだと思う。

現在Switchでは、Nintendoオンラインのアップグレードプランにて64のソフトを遊ぶことができる。
あの『バンジョーとカズーイの大冒険』などもプレイできるのが感動ものだ。
そして何より、Switchで使える純正64コントローラーがNintendo Store にて購入できる。

あの奇妙な3本脚のコントローラーも、こうも出されるとどうにも愛おしく思える。

Nintendo Storeより

大乱闘スマッシュブラザーズDX

そして第二作目であるスマブラはゲームキューブでの発売となった。

発売年は2001年。初代からわずか2年後の発売というのが、現在の作品スパンを考えると驚きだ。

このゲームキューブというソフトで任天堂は満を持して光ディスクを導入したゲーム開発が始まった。
これによって今まで制限されたカツカツのメモリの中で工夫してプログラムを組まれていたゲーム制作に大きなゆとりが生まれることになった。

ただ、GCは名作と名高いソフトが多いにも関わらず、本体の販売台数が伸びず、全体ソフト数が少ないことが有名なハード機でもある。

スマブラとしての人気が爆発したのはおそらくこの作品からといってもいいだろう。
それを証明するように、未だにGCコントローラーはファンの中で「スマブラ専用コントローラー」と呼ばれるほどだ。
実際に多くのスマブラプロゲーマーはSwitchのプロコンではなく、GCコンを選択している。

のちに任天堂の社長を務める岩井氏は、インタビューでその後の任天堂の動きを裏付けるような発言をしている。

「数字主義、スペック主義からの決別」
「お客さんはソフトが欲しがる。ハードの性能が高いから買うわけではない」

同時期に発売されていたXbox、PS2、ドリームキャストなどと比べても性能的には高かったGCだが、スペックの高さをアピールするのではなく、あくまで"ソフトが主役でハードは裏方"というマーケティングを貫いた。

しかしその64からGCへの進化は、圧倒的にスマブラを進化させた。

キャラクターのテクスチャは精細になり、キャラ数もステージ数もグッと増えた。

またコントローラーのスティックが右側にも追加され、XYボタンなども増えたことで、操作性も向上した。
先ほどGCコンがスマブラで愛されたことを書いたように、ここで「スマブラの操作」というものが確立されたのだ。

いまだに『スマブラDX』がeスポーツ競技としてプレイされ続けているということも、この作品の完成度の高さを語っているだろう。
本作が対戦ゲームの中でも"1秒間あたりの操作入力数が最も多いゲーム"と言われているように、かつては格闘ゲームの敷居を下げることが目的だったゲームが、独立した競技性を育んだ結果だと思うと、シンプルな操作でプレイの奥深さを突き詰めたスマブラは本当にすごいゲームだ。

桜井さんも自身の動画で語るように、本作はシンプルに「スマブラを進化させる」というコンセプトのもと制作され、それが見事に叶えられている作品なのだ。

大乱闘スマッシュブラザーズDX 【企画コンセプト】

大乱闘スマッシュブラザーズX

3作目となる『スマブラX』は2008年、Wiiでの発売となった。

前作からおよそ7年のインターバルだ。

Wiiは当時ゲーム業界を苦しめていた「ゲーム離れ」という問題に正面から立ち向かい、見事に多くの人口に受け入れられたハード機だ。
リモコン型のコントローラーを導入することで、ファミリー層にも触れやすいゲームを展開。
のちにはWii fitという健康管理ができる付属機を展開していったことは、現在のSwitchで人気の『リングフィットアドベンチャー』との繋がりも見える。
そんなWiiは任天堂の据え置きゲーム機で初となる脅威の1億台を超える出荷台数を叩き出した、革命的なハードである。

当時のCMも堂々としたミニマルさでかっこいい

そんなWiiが2006年に発売されてから2年後、待ちに待った『スマブラX』が登場した。

本作からあの有名な「〇〇参戦!」というムービーが生まる。
というのも、任天堂からの参戦キャラの増加はもちろん、なんといっても本作は他企業キャラがコラボ参戦した初めての作品だからこそ、このフレーズの熱さがある。

SEGAからソニックが参戦し、KONAMIからはスネークが参戦した。
どちらも世界中から愛されるゲームキャラだ。

あくまで"任天堂キャラ"オールスターのゲームだったスマブラが、のちの"ゲームキャラ"オールスターとしての一歩を踏み出した瞬間である。

ゲームシステムの根幹は変わらないものの、プレイのしやすさの向上や新要素の追加、大ボリュームのストーリーモードなど、「スマブラDX」は初代作品のアップグレードという印象だったことに対して、今作では新しいものが継ぎ足されているイメージが強い。
この作品以降で廃止されたシステムも少なくはない事を考えると、非常に実験的な立ち位置の作品だと言えるだろう。

しかし『スマブラX』といえば、なんといってもストーリーモードの「亜空の使者」は、当時プレイしていた人たちは皆夢中になっていただろう。
この「亜空の使者」は、スマブラ世界で起こる事件を、彼ら登場キャラクターたちが衝突したり協力しながら進んでいくという完全オリジナルストーリーだ。
ムービーも非常に多く、すべての登場キャラクターがそのキャラクターを崩すことなく、時にかっこよく、時に可愛いく動き回る。
そしてあくまでセリフとしての会話は挟まずに、ボディランゲージや相槌などで他作品のキャラ同士が絆を築いていくのが熱くてたまらないのだ。

普通のバトルゲームを考えると、グラフィックの向上やボリュームの満足感はすでに今作で充分天井を叩いたと言えるだろう。
しかしまだ終わらない。たとえ次回のハード機が大コケしたとしても、スマブラは続くのだった。

大乱闘スマッシュブラザーズ for 3DS / WiiU

4作目のスマブラは3DSとWiiUでの発売となった。

3DSは2011年に発売した「メガネがいらない立体3D画面」が売りの携帯機で1000万台以上の売り上げを出したハード機だ。
この大きな特徴として出していた「裸眼でも立体映像が!」という機能は実際にはさほど活躍することはなく、なんだかんだ皆奥行き表示をオフにしてプレイしていた印象がある。
しかしながら、PSPさながらのスライドパッドが導入されたことで3Dゲームの操作性がアップしたという点や、人気ソフトやリバイバル作品が多く出たことによって長い間人気を博していた。

問題はWiiUである。
WiiUが発売されたのは2012年。Wiiのアップグレード版のような名前だが、本機はWiiとの付属機ではなく、タッチ画面つきのパッド式コントローラーを使用してプレイする、全く別物となる新機種である。
しかし、そのコントローラー画面とテレビ画面がそれぞれ別の映像を表示するという画期的さシステムが仇となり、その特殊性からソフトの展開があまり盛り上がらなかったことや度重なる人気タイトルの発売延期、その上従来の任天堂ハードと比較して挙動が重たいことなどが重なり売上は低迷してしまった悲しい立ち位置のハード機だ。

売上数としては3DSは国内約253万本、WiiUでは国内約75万本という数字となり、爆発的とまでは言わないもののしっかりと結果が出ている。

やはりスマブラというソフトの力は大きく、WiiUは当時人気を博してた『スマブラ』『スプラトゥーン』『マリオメーカー』『マリオカート』の4作が保っているに等しい状態だったと言えるだろう。

今までの作品を遊んできた人たちは「携帯機でスマブラが遊べたら…」と考えたこともあるだろう。
3DS版はその思いに応え、多くの人の手に渡ったのだ。

今作は前作であった新要素を一部削ぎ落としながら、さらにスマブラの逆転性やアドリブ性を目立たせるようなシステムアップデートがされた。
復帰に対して自由度が高すぎた「滑空」や、ランダム要素が試合展開に影響を与えすぎる「転倒」などは削除され、逆に駆け引きの択が増える「崖奪い」や、逆転性を高める「ホカホカ補正」の追加などがその例だ。

ただ、前作で評判の良かったストーリーモードはほぼ廃止されてしまい、過去作に登場していた人気キャラも一部リストラされ参戦ができなかったものが数体いるなど、寂しい一面もあった。(キャラの削減は3DSのスペック的な問題が主な原因である)

しかしゲームを盛り上げる一つの要素として、「参戦ムービー」が制作されることで、このスマブラというゲームがお祭りのような一大イベントの一端を担うことになる。

【スマブラ3DS・WiiU】クラウド参戦!!

FFきっての大人気キャラ、クラウドの参戦はYouTubeでも「海外の反応」などでも見たことがある人も多いのではないだろうか。

FFシリーズをプレイしたことがなくてもクラウドを知っている人は多いように、彼は待ち望まれた参戦キャラだった。

他にも過去作の中からの一部が復活してDLCとして復活参戦。

他にも、ロックマンやパックマン、『ストリートファイター』からリュウ、ベヨネッタの参戦もあり、スマブラはさらに"ゲームキャラ"オールスターズとしての盛り上がりを見せていくのだった。

大乱闘スマッシュブラザーズSP

そして待ちに待った現在の最新作。
『スマブラSP』は2018年、Nintendo Switchにて発売された。

2018年?!

もうそんなに前なのが信じられない。
体感としてはずっと去年くらいに発売されたゲームだ。

本作は前作からのインターバルは約4年。
2017年に発売されて以降爆発的な人気で売り上げを伸ばし続けているハード機 Switchのソフトとして登場した。

Switchは今まであった携帯機と据え置き機の境界線をなくした、革命的なゲーム機だ。
WiiやWiiUで育ったセンサー機能をつかったプレイ感、WiiUから受け継がれた手持ち画面とテレビ画面という発想、左右で分割可能なコントローラーによる"おすそ分け"プレイといった、技術と発想の集大成となるハード機になる。

「いつでも、どこでも、だれとでも」というキャッチコピーを携えて、いまだに大人気だ。

そんなSwitchからのスマブラ発売は、発表から大きなイベントとして注目され続けた。
Nintendoダイレクトがあるたびに「今回のどこかで新キャラの登場ムービーがあるかもしれない…!」と手に汗を握っていた人も多いだろう。

そして皆が震えた「全員参戦」の四文字。

前作ではスペックの問題などで悲しくもリストラされてしまったキャラがいたが、今作では過去作に登場していたすべてのキャラが参戦することになった。
これだけで相当なキャラクター数になるのだが、さらに数体の新キャラや、ダッシュファイターと呼ばれるモデル替えキャラの追加。
そしてDLCによるさらなるキャラクターの追加が発表された。

ゲームシステムやバランスはさらにバランスよく調整され、「小ジャンプ」などの立ち回りの必須テクニックはより簡単に、逆に「ジャストシールド」などの勝負を分けるテクニックは狙わないと出せないようになるなどのアップデートが為された。

過去作と見比べていて特に感じるのはゲームスピードの速さだ。
キャラクターの挙動はもちろん、さまざまな演出がコンパクトかつ分かりやすくなった。
これによってスピーディな回転率と同時に、さらなる競技性を手に入れたのだ。

追加キャラの発表は完全にお祭りとして完成し、ハイクオリティな参戦ムービーは世界中をはしゃがせた。

私はバンジョー&カズーイが参戦した時は大声を出して喜んだ。

【スマブラSP】 仲間たち

冒頭で黄金のピースが転がった瞬間に「バンカズだ!!!!!」と叫んでしまった。

みな参戦ムービーで華々しくスマブラ世界にやってくる。
どのキャラも最高のワクワクと一緒にやってくるのだ。

かくしてスマブラは、『悪魔城ドラキュラ』からシモン/リヒター、『ペルソナ5』からジョーカー、『ドラクエ』から勇者、『餓狼伝説』からテリー、『FF7』からセフィロス、『鉄拳』から三島一八、『キングダムハーツ』からソラが追加されたのだ。

任天堂オールスター!とはどこにいったのか。
もうスマブラは立派なゲームキャラオールスターである。

「吹っ飛ばす」という革命的システム

スマブラの歴史をざっと振り返っていったが、なぜスマブラはこれほど長い歴史があるのか?

それは今まででも触れていたように、その革命的なバトルシステムにある。

・体力ゲージがなく、敵にダメージ%を溜める
・どんなに有利な%でも、場外に落ちたり出されたりすると負け
・アイテムや地形によって一発逆転がある

…と他にも挙げていくとキリがない程、スマブラは「スマブラのシステム」でバトルが動いている。

何より独創的なのは、"吹っ飛び%"という概念だ。

かつての格闘ゲームは、コマンド入力によってキャラごとに異なる技を出し、その技巧的なテクニックを前提に差し合いなどが行われていた。
しかし、スマブラはどんなにダメージを喰らっていても、場外に出なければ残機が減ることはない。
そして逆にどれだけ有利な状態でも、場外に出されて仕舞えば負けてしまうことがあるのだ。

これのシステムは試合展開のハラハラドキドキを盛り上げるだけではなく、上級者にコンボをひたすらにぶつけられ、同じ試合展開で負け続けることを遠ざけることにも成功した。

今や『ストリートファイター』や『鉄拳』シリーズは、古参ファンたちの厚い支持を受け、技巧的なテクニックこそ魅力のようなゲームになっているような印象があるが、スマブラはカジュアルで触りやすいシンプルな操作でありながら、しっかりテクニックの奥行きがあるというのが、従来作品との大きな差別化となった。

これによって、相手のダメージ%によってコンボルートを切り替える必要があったり、逆に確定コンボに対しても吹っ飛び方向をスティック入力で緩和したりずらしたりすることで、コンボ対策も開拓されたりと、あくまで格闘ゲーム的な面白さは殺さずにこのゲームの面白さへ昇華されているのだ。

キャラクターの豊富さ

スマブラの登場キャラは、現在最新作である『スマブラSP』で全87体となった。

プレイヤブルキャラ、87体。
どんなゲームだ。

1作目の登場キャラは起動時は8体。隠しキャラが4体の計12体だった。
2作目の『スマブラDX』で13体のキャラが追加され計25体。
3作目の『スマブラX』で10体のキャラが追加され計35体。(しかしこの時ミュウツー、こどもリンク、Dr.マリオ、ピチュー、ロイの5体がリストラされてしまう)
4作目の『スマブラfor』で23体のキャラが追加され計58体。(スネーク、ウルフ、アイスクライマー、ゼニガメ、フシギソウはリストラ)
5作目の『スマブラSP』では29体のキャラが追加され計87体となった。

4作目まではハード機のスペックの問題や、類似キャラの登場などによって次回作で削除されたキャラクター(通称リストラ)がいたが、5作目ではそれらのキャラクターたちも無事全員参戦となった。

それだけで皆大喜びしたものだ。

トレーラーの全員参戦の文字に、スネーク使いやウルフ使いは特に歓喜しただろう。
「これだけのボリュームなので追加キャラにはあまり期待しないで」と桜井さんは発表当時言っていたが、そんなものは嘘であった。
29体ものキャラクターが追加されたのだ。追加数は過去最多。大サービスじゃないか。

スマブラの制作はこれで最後になるかもしれないと桜井さんは言っていたが、もしかするとそれは本当かもしれない。

そんなスマブラの最後(かもしれない)追加キャラは、あの『キングダムハーツ』でお馴染みのソラとなった。
世界が望みながらも、ディズニーが版権を持つキャラクターということもあり半ば参戦希望を諦めかけていたキャラとしてもファンたちの中ではお馴染みのキャラだ。

【スマブラSP】最後のカギ

これほど誰もが満足する追加キャラはないだろう。

この大人気ゲーム『キングダムハーツ』から、さまざまな事情を超えてソラが参戦したことで、スマブラは完成したとも言えるのではないだろうか。

愛を感じる原作再現

キャラクターの豊富さについて触れたところだが、今度はそのキャラクターたちのディティールについて振り返っていこうと思う。

スマブラのサービス精神として一番嬉しいのはそのキャラクターの原作再現度だ。

一番わかりやすいのはそれぞれが持つ技だ。

スマブラに登場するキャラクターは、基本的にAボタンを使用した通常攻撃と、Bボタンを使用した必殺技がある。
ここでの必殺技というのは、必ず殺す技というよりも、キャラの代名詞的な特徴を持った技といったポジションになる。
マリオならばファイアボールを投げたり、カービィならば吸い込んだり、リンクならば弓矢を打ったりといった具合だ。

この必殺技は方向入力によって別の技になるため、B技、横B技、上B技、下B技と4種類の特殊技があるわけだ。
これらのわかりやすい技のチョイスが、どれも原作ゲームでお馴染みの技になっている。

これだけのゲームからキャラクターが参加しているとなると、ゲームをする人ならほぼほぼ何かしらのキャラの原作はプレイしているだろう。
そんな中で、キャラを触ってすぐに「あ、この技、原作であったあの技だ」と実感することができる。

そして細かいところまで凝っているのが、キャラの挙動だ。

原作からの引用元がわかる技を使える事はもちろん嬉しいが、敵からダメージを喰らった時や、戦闘とは全く関係ない待機中の行動などまで、そのキャラらしい動きをしてくれるのがとても嬉しいのだ。

わかりやすい例を出すなら、ロックマンなどが場外に出されて残機を失った際は、原作よろしく丸いエフェクトと一緒に「ティウンティウンティウン」というお馴染みの音が鳴ったりする。

こういった細かさが、スマブラの「原作世界からキャラがスマブラに来てくれた」という感覚を強め、より一層そのキャラと原作への愛着を脇立ててくれる。

もちろん原作未プレイのキャラクターを触ることもあるだろう。
しかしこれらの原作再現がしっかりしているからこそ、「スマブラでよく使うキャラの原作をプレイしてみようかしら」と逆輸入的に興味を持つことができたりする。
私なんかは実際にスマブラで触れたことによって『ファイアーエムブレム』の作品をプレイしたりなんかもした。

「自分の好きなキャラクターをスマブラに出して欲しい!」という要望が多いのは、これらの原作愛をプレイヤーたちがひしひしと感じ取っているからこそだ。

きっとクラッシュバンディクーがいつかスマブラに参戦することがあれば、きっと彼はしっかりと多彩な死に方をしてくれるだろう。

振り返って

私にとってスマブラは、幼少期から当たり前にあるゲームソフトだった。

ポケモンやカービィ、モンハン、FF、ドラクエなどのゲームも同じようにずっとあったが、スマブラはそれらの"ゲームへの愛情"をすべて担って存在し続けている。

自分の思い入れのあるキャラクターがスマブラに参加することがなぜこんなにも嬉しいのか?

それは積み上げた思い出と一緒に常にスマブラが"ゲーム"を背負って人生を並走してくれていたからだろう。

これだけのボリュームを持って最新作を更新してくれたスマブラ。
そしてこれまでそれらを代表して引っ張ってきてくれた桜井さん。
本当にありがとう。

次回作があるのかは本当に誰も知ることができないが、私はこれからも遠くに住む友達や、知らない誰かや、一緒に集まった人たちとスマブラをし続けるだろう。

愛着を持ったキャラクターを、愛着のあるこのゲームで。

-ゲーム
-