思弁逃避行

[#00]はじめに-思弁逃避行-

2022年11月27日

たこ焼きとたこ焼き機はどちらが先か?

これは大変な問題である。

まず、たこ焼きが先だとする。

たこ焼きのアイデンティティといえばあの丸っこくて愛らしいフォルムだ。
しかし、どうやってたこ焼きはあの丸い形状を手に入れたのだろうか。おそらくあの形の鉄板がなければたこ焼きは丸くはならない。
たこ焼きを作りながら、ふと「なんてたこ焼き作りに適した奇妙な鉄板だろう!」と感じたことがあるのは私だけではないはずだ。

半球状の窪みにたこ焼きの記事と具を入れる。
表面が焼けることでひっくり返せるようになり、中心部のまだ液状の生地が垂れ落ちてもう半分を生み出す。
こんな手間をかけながらも、この鉄板のおかげでたこ焼きは丸くなる。

だが、なぜたこ焼きを丸める必要があるのだろうか?

あの鉄板よりたこ焼きが先ならば、きっとシーフード版のお好み焼き的な平ぺったい形状で流通していたのではないだろうか。

そうだ。きっとそうに違いない。
では、たこ焼きが後で、たこ焼き機が先だ。

だがそうすると、なぜ粉もの丸めようとしたのかという疑問が浮かぶ。

一口サイズで丸ければ食べやすいからだろうか?
「これ、絶対丸い方が可愛いやんな?」と言い出したなにわのギャルがいたのだろうか。

だとすれば何故たこ焼きくらいにしか、あの鉄板を使わないのだろうか。
お好み焼きも丸めればいいではないか。なぜたこだけ丸める。
「それやったら他のも全部丸めたらええんちゃうか」と他のなにわギャルが誰一人口を挟まなかったとは思えない。

そうなると、すでに丸い形状のたこ焼きという料理があり、効率よくそれを作るのに適した鉄板を発明したという流れになる。

そうだ。きっとそうに違いない。
では、たこ焼き器が後で、たこ焼きが先だ。

待て、するとその既に丸い形状のたこ焼きはどうやって何のために作られたのか…?

堂々巡りである。

この問題に対して、すぐに検索をかける人間は迅速にこのページを閉じてもらうのが賢明だろう。
私はこういった、調べて要約すれば一行二行で済むような、無意味で無利益な思弁を燻らせる癖がある。

本気になって調べればすぐに答えがでる事ばかりで馬鹿馬鹿しいと思われる方もいるだろうが、目の前に見えている答えから目をそらし、ただうろうろとさまよう机上での寄り道に付き合っていただける方だけに楽しんでいただけたらと思う。

絵に描いた餅という言葉があるが、餅を食うよりも餅の絵を描く方が楽しいこともあるのだ。

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