「今限定!ディズニーパッケージ」
そう書かれたインスタント麺がそこにあった。
また恐ろしいものをみてしまった。
それはスーパーのワゴンの中で悲しげに積まれていた。
今限定。
今季限定ではない。今だけなのだそうだ。
それはもう限定に限定されている。
なぜなら"今"とは時間を指す言葉の中で最も短く具体的なものだからだ。
言葉の上ので"今"は、それを耳にし意識したその瞬間、刹那の話になる。
その"今"が、文字として印刷され、しかも限定されているというのだ。
つまりこの印字されている"今"はその商品のパッケージを人が目にして認識するたびに訪れる。
こんなに希少なものはない。
つまり、先ほどは「この上なく限定されている」といったような書き方をしたが実はそうではないのかもしれない。
人が意識をしているその状態が常に"今"であり、それは流動的でほとんど永遠に近い。
ディズニーパッケージは"永遠"なのだ。
時間というものを認識する意識があるかぎり、我々は今という時間以外を過ごすことは不可能だと思っていた。
しかしそれは間違いだったのかもしれない。
このインスタント麺のディズニーパッケージが終了する時。
その時こそが"今"が終わる瞬間なのだ。
限定品とディズニーに歯向かってはいけない。