週刊少年ジャンプ

"最強"をカッコよく描き続けながら物語を成立させる『ヒロアカ』と『呪術廻戦』-週刊少年ジャンプ2023年36・37合併号(8/7)について-

2023年8月7日

表紙は合併号の集合絵。

各作品のメインキャラたちが代表して表紙に描かれているけれど、『呪術廻戦』は虎杖/伏黒/釘崎の三人ではなく、五条/虎杖/乙骨という師弟トリオだった。

まあ確かに今1年生トリオ描かれても悲しくなるだけだもんな…

そして『あかね噺』はずっと順調に人気が伸びていき、小さいながらもセンターを獲得している。

メディア化の話はきっと進んでいるだろうけど、今もうすでにずっとソワソワしている。

あかね噺

あかねとひかるの勝負の結果は、1点さでひかるの勝利となった。

この採点方式の上で、しっかりと配信先からも点を取れたのが差を作ったのが勝因という描き方も上手い。

おかげで「結局どっちが落語上手いの?」という疑問は湧かない。
あくまで違うアプローチである二人の腕はほぼ互角。その上でこの戦いでの採点形式に対して評価を得やすいスタイルだったのがひかるだったのだと納得。

そして初めての"負け"に涙を流すシーン、無茶苦茶いいですね……

魁生の「高座は自分探しをする場所じゃない」という強者故のセリフもいい。

思えばあかねの父の志ん太も、高座の中で家族という軸を見出して調子を取り戻したが、その過程が見破られ一生に破門認定された。
今回その一生の一番弟子である魁生が、あかねに対して「残念だ」と伝えるという構図は、父と一生の間に起きた出来事とも重なる。

あかねはしっかりと父の芸を受け継いだ上で、未だにその"弱さ"をどう昇華するかという課題には向き合い続けないといけないのだ。

ずっと面白くなり続けてるな、この漫画。

SAKAMOTO DAYS

映画野郎がなんか思った以上に物語を動かすのにいい役割をしている。

スラーの中にいるリオンの人格は果たして本物なのだろうか…?
リオン本人だと確信する晶は、すっかりスラーの手籠に。映画野郎も『ファイアパンチ』のトガタよろしく二人を撮影する為に、向こうの陣営につくようだ。

そして鹿島も「自分が支持していたスラーの人格を取り返す」という理由で一時的に仲間になりそうな予感。

アクションでガシガシ見せていく漫画として楽しんでいたけれども、ストーリーもすごく盛り上がってきた。

こっからも無茶苦茶楽しみです。

ONE PIECE

フーシャ村、懐かしすぎるだろ。

ルルシアを消した兵器は天変地異を起こすほどの力を持つものだった。

そしてサラッと新登場してきた海軍の中将たち、顔が悪役すぎて笑ってしまった。

久々に状況が整理されて、ここから「欲」を巡って五老星サイドと麦わらの一味がぶつかる構図になるようだ。

最後の一味が揃っている見開き、なんかちゃんと様になっててかっこいい。
ボニーも仲間になりそうな雰囲気強くなってきたな。

ゴッドアームズ

1ページ目でスサノオが降臨する漫画、初めて見た。

圧倒的な力量さを知識量で乗り越えるという展開は、『Dr.ストーン』を彷彿とさせるが、がっつりアクションに振り切っていて読んでいて楽しかった。

『終末のワルキューレ』が大バズりしているので、有名な神々と戦う展開は既視感があるけれど、それにさらに『金色のガッシュ‼︎』のようなバディものにすることで無茶苦茶ジャンプど真ん中な漫画になっていて凄い。

どんな敵が出てくるかとか、どんな知識でトンデモ攻撃に勝つのかとかワクワクする要素もたくさんあるので、ぜひ連載でも読みたい。

アオのハコ

雛、匡、菖蒲の三角関係が始まるのだろうか…?

菖蒲が匡の気遣いに惹かれている描写はあったけれど、匡は雛のことを気になっているのだろうか。
匡くんがポーカーフェイスすぎて全然予想がつかない(もし私が読み始める以前にすでに描かれているのだとしたら申し訳ない)

こっちの方の展開もワクワクしてきた。

呪術廻戦

肉弾戦でも宿儺強そうだけど、互いに領域が使えない状態でどうなんの?!

と思っていたが、初っ端から「五条のジャブは全部クリティカルヒット」というヤバさが明かされて笑った。

あと急に五条が"肢曲"(『ハンターハンター』でキルアが使う技術)みたいなの使ってきた。
"落花の情"だけじゃなくて"肢曲"も使えるんですね。次は普通に"指銃"とか使うんじゃないか。

そしてさりげなく入れられている、赤から青に変わって試合再開する信号機の演出がオシャレすぎる。

魔虚羅の完全適応まであと3カウント。
流石に獄門疆でも封印に時間がかかったように、無限への適応は一発では出来ないらしい。

この「3カウント待たずに勝つ」という宣言に、鹿紫雲も戦闘メンタルが共感したのか何だか嬉しそう。

ずっと見ていたい二人の試合だけれども、なんだかんだで領域勝負も終え、適応までの勝負で決着がつきそう。

恵に対して「死んで勝つのと死んでも勝つは違う」と説いていた五条なので、宿儺との試合で死んでほしくはないと願うが…

アスミカケル

二兎の家庭や学校生活の事情は嵐のようなスピードで語られて、大牙さんの掘り下げが始まった。

やっぱり無茶苦茶文字が多いけれども、試合シーンへいくまでの展開を一気に進めてくれたからか、次週がすでに楽しみになってきた。

『鵺の陰陽師』について以前、シーンの取捨選択が狂ってると書いたけれど、本作は面白い試合シーンをテンポよく書くために、その他のシーンはアクセルがん踏みで進めてくれているんだなという意図が汲み取れるので全然心配にならない。

かっこいい大牙先輩もっと見たいので次話が楽しみだ。

ウィッチウォッチ

無茶苦茶アツい……
なんだかんだで日常回でも節々に修行をしているところを書いていたのはこのシーンの為だったのね…

毎日手合わせしていた守人の強さへの信頼から、自信を取り戻す。
『天元突破グレンラガン』でカミナが言っていた「お前を信じる俺を信じろ」というセリフのかっこよさ痺れたのを思い出した。

カンシが普段強者として描かれていないからこそ、このシーンがグッとくる。
みんな偉すぎる…そしてお父さんがちゃんとカンシを認めていることを伝えていたのがこの瞬間に響いたと思うと嬉しい。

僕のヒーローアカデミア

アイアンマンよろしくアーマードオールマイトが来た!!!!

装甲の"レッド"、捕縛の"ブラックウィップ"、電流の"チャージズマ"…etc.
どれも彼の生徒の個性をモデルにした装備なのね……

今までOFAで救い続け、デクに個性を受け渡したオールマイトが、今度は次世代から借りた力で戦うのが無茶苦茶アツい。

そして本作のスピンオフである『ヴィジランテ』を私はちゃんと読めていないのだけれど、おそらくこの設計者は『ヴィジランテ』のキャラじゃないだろうか。

「過去一度たりとも負ける気で戦ったことはない」

こんな老衰した身体で、数分数秒の時間稼ぎしかできないと思われていた彼が断言するのが痺れるほどかっこいい。

オールマイトから力を与えられたデクだったが、オールマイトもまたデクからヒーローの核心たる力を受け取っているのがわかって泣ける。

キルアオ

コナン展開きた!

主人公が中学生になったにも関わらず、同級生の中坊に説教しながらボコっていたツケが回ってきた。
しかも出来るならずっと中学生のままでいたいとか抜かしていた矢先に元の身体に戻った。

まあこのシチュエーションで元の身体に戻りたがっていないのは驚愕だったが、ここからどうするんだろうか。

中学生に戻るために奮闘するのか…?

ラブコメトンデモバトルと、ジェネレーションギャップギャグを擦り続けるかと思いきや、次からは割と物語が動いていくのかもしれない。

逃げ上手の若君

忠臣だったのに実はサイコキラーだったというキャラ設定が、キャラ設定ではなくて史実によるもので笑ってしまった。

歴史にハマる人の気持ちをイマイチ理解できていなかったけれど、こういうキャッチーな面白さも案外たくさんあったりするんだろうなと思った。

戦場をかける幼子として時行が活躍してきたが、第二部に入ってから改めて世代交代を強く感じさせられる回だった。

だんだん家長も魅力的に見えてきた。

夜桜さんちの大作戦

バトル漫画において攻撃力とか体力とかを数値化するのって結構ワクワクさせるために有効な手段だと思うんだけど、まさか能力の数値化の説明でまるまる1話を使うとは思わなかった。

しかも全然ワクワクしなかった。

これ凶一郎が一緒にこの場にいる意味あるんだろうか。

鵺の陰陽師

今回は割と戦うための動機をしっかりと描いてくれる回だった。

藤乃さんを束縛してきたものの大きさを学郎も目の当たりにして、より勝利のための覚悟を固める。

鵺と狂骨の会話が描かれたけれど、鵺の目的とはなんなのだろうか。
武器も進化したらしいので、次回は狂ったラブコメではなく、がっつりバトルを見ることが出来るかもしれない。

アンデッドアンラック

思った以上に高校生活をしっかり過ごしていた。

クエストもなんだかんだでボロボロになりつつもこなせる感じになってる。

しかしここまで悲劇の回避ってしっかりバトルをして食い止めるっていう感じだったのに、今回はトラックをフィジカルで止めるというガチガチの力技で無茶苦茶笑った。

けれど力の"不動"の能力の範囲内で悲劇を止めるには、ショーンの”不可視”がないといけないというのは意外と盲点だった。
ショーンがいないと力の否定能力によって悲劇の阻止が出来ない。前のループではザコ扱いだったショーンが、今回のループでは必要不可欠な否定能力者として仲間になって活躍しているのがなんだか嬉しい。

そしてファンさん、トラック止めたかったんだ。
体育教師生活が長引きすぎて、もうトラックでもいいから戦いたかったのかな(トラックと戦うって何?)

一ノ瀬家の大罪

けんた、やっぱりクソヤバガキでした。

颯太の「家族で傷つけ合うなんてあり得ない」という過剰な防衛意識から、けんたの本質に向き合うことが出来ないまま野放しになっている。

傷つけ合わない為にと互いに向き合わない擬似家族と、互いに向き合おうとしないが故に傷つけ合う一ノ瀬家が対比されるような展開になってきたが、ここでお母さんに位置バレ。

家族に睡眠薬を盛っていたのは確定だと思うので、しっかりヤバいお母さんだが、ここから颯太と翼を連れ戻すために福井まですっ飛んでくるのだろうか。

夢世界内での家族更生ストーリーを装っていたのが第一部。
そこから目覚め、夢世界と現実世界の行き来で家族の歪さが浮き彫りになっていくのが第二部。

そしてここからは擬似家族と一ノ瀬家のぶつかり合いの第三部だろうか。

やっぱり私は本作無茶苦茶好きなので、わかりやすく盛り上がってきたなとテンションが上がっています。

アイスヘッドギル

風によって弦と矢を生成する弓!
かっこい〜!そういうの大好き!

木を切り倒して敵の退路を断ち、そこからの脱出をサナが射撃で阻止、そこに三回転の大技。
すっかり連携が取れたバトル展開でワクワクしました。

そしてギルの父親はやはりリッチの王に乗っ取られているようだ。
まだギリギリ意識があるような描かれ方をしているけれど、ここでギルは父の身体を乗っ取ったリッチを倒すという目標ができた。
王道アドベンチャーに、ラスボスとの対決は父殺しという大ベタ展開を設置してきた。

王道をやってるからこそ、ベタさは山盛りなんだけど、本作はそこまでそのベタさに退屈を感じないので割と好きです。

仲間との信頼関係の築き方とか、戦いの勝ち方とか、キャラクター像のわかりやすさとか、それらを全て明瞭に描いているのは『ONE PIECE』的な読みやすさがあるし、今後がだいぶ楽しみになってきました。

テンマクキネマ

海で涙を流すシーンの実際の撮影はダイジェストなのかよ。

同じシーンをまたしっかり描いてもしょうがないのかもしれないけれど、「渚」の全体像を掴めていない読者側としては割とショックだ。

倉井さんのお風呂シーンとかをわざわざ入れるのだったら撮影シーンや、倉井さんの内省をもっと描いて欲しかった。

天幕の書いたホンを、監督と俳優の力で超えないといけない…という課題立ち塞がったけれど、やっぱりここで「だからその越えるべき"ホン"をそもそも読者に伝わってないままだろ」と引っかかってしまう。

これは私がずっと変なところに突っかかっているだけなんだろうか。

「渚」がどんな作品なのかを事細かに作中で描く必要があるのかどうかは、作品の演出の仕方によるとは思う。
当然全部説明する必要は全くないと思う。
けれども、この「渚」という作品が今進行している物語の目標でもあるし、課題でもあるという展開になった以上、それが透明なままなのはどうなのよとモヤモヤしてしまう…

ブラッククローバー

ひたすら引っ張っていった挙句、アスタが一人で敵をぶっ倒す『マッシュル』のようなクソ展開になるかと思いきや、アスタの反魔法を味方に付与することでチーム戦に持ち込んだ。

ちょっと安心。

けれども最強の魔法使いに対して、反魔法能力があったらそりゃ勝てるだろうなという視点は1ミリも覆されていないので、あまりアツくなれなかった。

無効化系の能力ってやっぱり能力前提のバトルだと強すぎて扱い難しいんだろうな…

僕とロボコ

この掲載順にいるのが珍しい本作。

ロボコが半分になっちゃった…じゃないんだよ。

フリーザ、跡部、サマーウォーズともうジャンプだろうがジャンプじゃなかろうがお構いなしのパロディの嵐。

ガシガシとネタを詰め込んできた時にちゃんと無茶苦茶面白いから悔しい。

暗号学園のいろは

毎週思うんだけど絶対にもっと掲載順上だろ。

ド派手なギャグみたいな登場も一応「奇抜な登場で意表をついて暗号作問の隙を与えない」みたいに説明されるのが、カッコいいのかギャグなのかもうわかんなくなってきた。

そしてここで負けてもメリットがある出題をすることで匿名さんを助けに出るいろは。
かっこいい。やっぱアンタ主人公だよ…

ダンスが上手という描写はちょこちょこあったが、ここでいろはのフィジカルの器用さがド派手に描かれた。

主人公だ…

人造人間100

打ち切りルートに入ってしまったかと嘆いていたけれど、今週の演出かっこ良すぎませんか!!!

炎対氷の対決もベタにかっこいいんだけど、氷結能力の説明もきちんとしていたり、それに抗えない100号の能力の特性がちゃんと描かれていたり、本当に丁寧だなと思う。

そして歪んだ協力関係を執念として燃やして突っ込むファイアパンチ状態のあしび。

あの契約を達成するために、あの時の覚悟を成就させるためにと二人の原点であるシーンを映すところ、痺れました。

こっからファイアパンチ戦法で戦うあしびを観たいので、まだ終わらないでくれ…

ドリトライ

本作も打ち切りルートに乗っかっていそうな空気がプンプンしている。

最終決戦は史上最強の親子喧嘩になるのか…?!

父と息子でどっちの心が強えのか期待が高まる。

まとめ

今週は『あかね噺』『ヒロアカ』『逃げ上手』などで世代交代や受け継がれていくアツさをこれでもかと見せつけられた週だった。

やっぱり『ヒロアカ』でオールマイトが真正面から戦っている姿はずっとかっこいいな…
そして『呪術廻戦』も五条悟が生徒の前だからと嘯きながらも全力で宿儺を倒しにかかっているのもかっこいい。

作中最強のポジションって"最強"として描けば描くほどかっこいいけれど、その分物語を動かすにあたっては障害になりかねない存在だと思うので、この2作は本当にその扱いずらい"最強"をずっとカッコよく描き続けながら物語をうまく動かしていてスゴイ。

今週は合併号なので来週のジャンプはお休みだけれど、なんとかお盆を超えて次のジャンプを楽しみにしています。

次の号も看板作品がどれも載っていると思うと耐えられるね。

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