私は漫画と小説をよく読むのだが、ここ数年は本を買うことに不本意な抵抗がずっと付きまとう。
本棚がみちみちでやってられない。
引っ越しの際に、悲鳴をあげるほど重たい段ボールがあると思ったら、十中八九それは「本」とマジックで書いてある。
紙ってあの量になると随分と重たいんだな。
そんなこんなで本は読みたいけど、もうそんな場所は確保できないと思っていたところでKindle爆誕。
Kindle自体はもっと前からあるのだけど、使ってみるとこんなものが世の中にあるのになんで誰も騒がないんですか?と不思議になるくらいだった。
「本は紙派だから電子書籍で読むのはなんか違うんだよね」と電子書籍で本を読んでみた試しもないのに考えている人もいるのではないだろうか。
しかし「音楽はやっぱりCDで聴きたいんだよね」と嘯いていた貴方も今ではすっかりサブスクで音楽を聴きまくっているではないか。
要はどちらも知れば「CDで所有して音響こだわるのもいいし、サブスクで色々聞いて知れるのもいいよね」と皆が落ち着いたように、紙の本と電子書籍も自分にとって都合のいい使い所を見つけたら普通に無茶苦茶便利になるだけですよ、と言う話だ。
また、電子書籍を推したい要素の一つとして、本文に線を引いたりする機能はもちろんのこと、文中の単語を辞書を引いたりすることも画面を切り替えずにその場でできるという点がある。
旧字体の小難しい漢字が出てきたり、読みをなあなあにしていた熟語、単純に初見の単語などをその場で引けるのはスッキリするのでお気に入りのポイントだ。
これが紙の本だとスマートフォンなどでわざわざ調べたり、そもそも読みがわからない旧漢字などを手書き漢字検索などで調べるなんてことはわざわざしなかったと思うので、これは大きなメリットになるだろう。
私は電子書籍に無茶苦茶救われているので、その勧めをKindleのサービス紹介とともに電子書籍端末二つの比較をしながらしていこうと思う。
Kindleのサービスについて
電子書籍サービスは現在様々なサイトやアプリを通じて利用できる。
AmazonのKindle。楽天のKobo。角川のbookwalker。印刷会社運営のhonto。漫画のサービスとなるとその種類はさらに多くなる。
その中でも抜群の使いやすさと安心感を持っているサービスがKindleだ。
皆が使っているAmazonが運営する電子書籍サービス。それだけで心配をせずに使うことができる。
品揃えも良く、大体の小説などは電子書籍版を容易に見つけることができる。
何気にありがたいのが、前述の通り巻数の多い漫画なども本棚の容量を気にせず購入することができるところだ。
30巻を超える巻数となると、それだけで買うのが億劫になってしまうという人は、私の他にも多くいるだろう。
その置き場というデメリットを解消してくれるのがどれだけ嬉しいか。
そして何よりも、Kindleは専用の端末を出していて、その使い勝手は非常に良い。
KindleはiPhoneやAndroidアプリでも読むことができるので、スマートフォンやタブレット端末からも開ける。
しかし、電子ペーパーの読みやすさといったら、液晶の比ではない。
実際私は一度電子ペーパーで本を読むようになると、とてもスマフォの小さく眩しい画面で本を読もうとは思えなくなってしまった。
もちろんKindle端末はKindleを読むことにしか使うことはできない。
これはメリットでもあり、人によってはデメリットになることもだろう。
Kindle以外のサービスでも電子書籍サービスを楽しんでいるという方は、弊害になるかもしれない。
しかし、当然ながら紙の本は本を読むこと以外に使うことができない。そう思えば大して気にすることでもないのだ。
Kindleサービスを使うならばKindle専用端末を使うもよし、他のサービスも併用して使うなら他の端末を使うもよし。
電子書籍ならば大体紙よりも安く、かつセールもよく行われている。
お気に入りのブックカバーで文庫本を持ち歩くように、お気に入りの端末で数千冊を持ち歩くというのも気持ちがいいものだ。
愛用している端末『Kindle Paperwhite』(2015)
私が愛用しているのは、Kindle専用端末だ。
しかしこれは現行品ではなく、2015年のモデルを中古で購入したものだ。
本体サイズ (画面サイズ) | 169 × 117 × 9.1mm (6インチ) |
充電端子 | Micro USB |
データ容量 | 32GB |
解像度 | 1448 × 1072(300ppi) |
現行品との違い
この製品は「Kindle Paperwhite」というモデルなのだが、現在ではこのモデルはサイズアップして、iPad miniくらいのサイズになっている。
無印Kindleと呼ばれる廉価モデルがこの2015年モデルの後継機に当たるので要注意。
現行版との違いはサイズ以外にも、充電端子がUSB Cに進化、耐水機能搭載、本体とディスプレイがフラットに進化といった変化がある。
個人的にはこの文庫本サイズに近いものが好きなので、このサイズ感のままで同じ機能がかなえば嬉しいのだが…Amazon、待ってます。
現在の無印Kindleは容量がなぜか容量が16GBに減ってしまった事、それとホワイトカラーが2022年12月現在出ていないことが気になる。
Kindle端末の使いやすさ
Kindle端末でKindleを読むにあたっての良さはなんといってもそのUIの使いやすさだ。
Kindleを読むことしか機能が搭載されていないため、その分表示される情報もシンプルでスッキリしている。
そしてこれもKindle端末の特権。
Kindle端末から直接電子書籍を購入できるのだ。
「そんなの当たり前では?」と電子書籍を使わない人は思うかもしれないが、他の端末の場合、Kindleアプリからは電子書籍は購入できないのだ。
意味がわからないよね。
なんでもアプリからの購入はAppleやGoogleに仲介料を取られてしまうため、Kindleはブラウザからの購入しかできないのだそうだ。
そのため、スマフォやタブレット端末にKindleアプリを入れていたとしても、新しく本を購入したりする際はブラウザを立ち上げてAmazonページを開いて購入するという手順を踏まないといけない。
これが結構めんどくさい。
Kindleでのことは全て同じ画面で完結させたい。そういった要望に唯一答えてくれるのがKindle端末なのだ。
同じ作者の他作品が読みたくなった時や、漫画の次巻を読みたい時などは、本当にスムーズで嬉しい。
本を読むためのコンテンツ内で本を買えないだなんて馬鹿馬鹿しい(しかも理由が大人の事情でしかない)のだが、現状そのストレスを感じずに済むのがKindle端末。
このメリットは電子書籍を使えば使うほど実感できるだろう。
画面の見やすさ
画面の解像度は300ppiだ。
具体的にどんなもんよと聞きたくなる単位だが、要は6インチの小さな画面に漫画を表示してもセリフが綺麗に読めるくらいの解像度は十分ある。
基本的に現在出ている電子書籍端末は、どれもこの程度の解像度は満たしていて、文字や漫画を読むにあたってはどれも気になることなく表示が可能だ。
画面の明るさは24段階で調整可能。
屋外でも室内でもスライダーでサッと調整して仕舞えば読みづらいと感じることは無いと思う。
少し前の電子ペーパーならば、ページめくりをした後に画面に残像が残ってしまうことが問題視されていたが、最新の電子ペーパーは優秀で、残像感もほとんど感じることがない上に、カラー表示ができるものだって発売されている。
ページを送る際の電子インクのチラつきなどもごく稀に起こる範囲に収まっているため、本を読むにあたってのストレスは感じていない。
これはKindle端末以外の製品を触って感じたことなのだが、Kindle端末は背景の白の発色が綺麗だ。
余白の部分が澄んだ白で表示されるか明るいグレー調で表示されるかで、意外と文字の認識のしやすさへの影響が大きい。
些細な差ではあるのだが、「Paperwhite」と名乗るだけある白さがこの端末にはあると言えるだろう。
ちなみにだが、電源オフ時に画面に表示される画像はランダムで3、4種類のものがデフォルトで設定されている。
これはなんだかダサく感じてしまったので、私は現在読んでいる本の表紙が自動で表示される設定にしている。
今何を読んでいるのかがわかるのと、机にポンと置いておいたときに文庫本の表紙が出ているのは”本への所有欲”のようなものも少し満たしてくれるので、私は気に入っている機能だ。
Kindle以外のサービスも併用するなら『BOOX Poke4 Lite』
私がもう一つ愛用している電子書籍端末はこちら。
BOOX Poke4 Liteだ。
BOOXは電子ペーパーのガジェットを出しているメーカーで、Android搭載の電子ペーパータブレットという分類分けが正しいだろう。
電子書籍端末と言いながらも、Apple Musicやradikoの再生、メモアプリやPDFファイルを管理するドライブアプリなども使えるのが強みだ。
本体サイズ (画面サイズ) | 153 × 107 × 7.1 mm (6インチ) |
充電端子 | USB C |
データ容量 | 16GB(稼働容量は7GB) |
解像度 | 1024 × 758 (212dpi) |
BOOXの見た目の良さ
なんといってもこの見た目である。
角が落とされている丁寧な処理以外はシンプルな四角い板そのものなのだ。
ベゼル部分も狭く、本体も薄い。そして軽い。
Kindleと同じ画面サイズ6インチにも関わらず本体サイズは文庫本とほぼほぼ同じ。
上着のポケットに入る。普段文庫本を入れていた鞄のスペースなどにも問題なく入る。
そしてKindle端末で触れていたスリープ時の待受画面。これを好きな画像に設定できる。
電子ペーパー端末は画面表示自体には電力を使用せず、表示切り替えの際と、フロントライトの点灯のみ電力を使う。
そのため待機画面に好きな画像をずっと表示させていようが充電はほとんど減らない。
私はこの世で一番かっこいい椅子だと思っている、ジョージナカシマのチェアとソファの画像を待ち受けにしている。
これができるのが非常に嬉しい。
自分の本を数千冊管理できる電子端末の表紙を、自分の好きな画像にできるというのは所有欲を強く満たしてくれるのだ。
用途の幅広さ
BOOXはAndroid OSを搭載した端末だ。
そのためGooglePlayストアから好きなアプリを入れて使用することができる。
Googleアカウントへ端末認証の初期設定が少し面倒だが、ネットで調べればすぐに出てくるためさほど気にならない。
Kindleはもちろん、ジャンプ+などの漫画アプリ、楽天マガジン、dマガジンといったような雑誌購読のサブスクなども開けてしまう。
読書アプリ以外にも、Apple MusicやSpotify、radikoなどを入れることができるので、Bluetoothイヤホンを繋げば音楽を聴きながらの読書も可能だ。
電子書籍端末のいいところは、メールやSNSなどに気を取られずに読書に集中できるという点だが、音楽を聴きながら本を読むという人もいるだろう。
そういった時はこの端末なら自分の用途に必要な用途のアプリだけを入れることで、やりたい事をこの端末だけで完結できるのは嬉しいポイントだ。
シチュエーションごとにカスタマイズできる使い勝手の良さ
BOOXは比較的多機能ながら、読書端末として必要最低限のスペックを持っている。
解像度はKindleまでは敵わないものの、基本的に文字を読むだけなら見づらさを感じたことはない。
また画面の明るさを寒色と暖色でカスタマイズできるというのもいい点だ。
そのまま使っていてもフロントライトを使った反射光なので、寝る前などでも眩しく感じることは無いのだが、暖色系のライトに切り替えることで、やはり少しストレスが減る気がする。
また電子インクのリフレッシュモードをアプリごとに切り替えることができる。
これによって、読書アプリは解像度優先、漫画アプリはページめくりの滑らかさを優先、といった最適化ができる。
電子インクは流動的な画面表示が不得意なので、滑らかな動きなどは苦手ではあるが、こういった優先度切り替え機能があるのは親切だ。
二つの比較
私はこの二つの端末どちらも気に入っているため、どちらの方が良い!と軍配を上げることはできない。
しかし明らかに言えることとしては、Kindleのサービスのみを使って読書をするなら、Kindle専用端末の方がコスパや使い勝手も含めおすすめ。
Kindle以外の電子書籍サービスや漫画アプリを読みたいのならBOOXがおすすめというところだ。
プロダクトとしてのデザインやカスタマイズ性、本体の軽さはBOOXの方が気に入っているのだが、いかんせんデータ容量が少ない。
せっかく色々なアプリを入れることができるのに、少し勿体無い気がする。もう少し拡張性があったらBOOXは完璧な端末になっていただろう。
しかしBOOXはこのモデル以外にも、充電不要のワコム対応スタイラスペンが使える上位モデルや、カラー表示対応の電子ペーパー端末など面白い商品を多く出している。
これからBOOX Pole4 Liteに続く理想的な後継機を出してくれるだろうと私は期待している。
シンプルな使いやすさと画面の見やすさはKindle端末が優秀だが、現行品は容量が減ってしまっている。
最新版はひとまわり小型化され充電端子もUSB Cになったのは嬉しいが、防水機能非搭載やカラバリに不満があるので、もうしばらく私は2015年モデルを使い続けるだろう。
だがやはりアプリ内で購入ができる特権と、その白の発色の綺麗さによる読みやすさは魅力的だ。
コンパクトさや白色が良いというこだわりを捨てたなら、大容量で防水対応のモデルも出ているため、そこに手を出すのもできる。
充電の持ちは二つとも一切不満はない。
常に何かしらでバッテリーを消費していくスマホと違い、基本的には読書中くらいしかバッテリーが減らない電子ペーパー端末は長時間読書をしていても2、3日は持つ。空き時間にたまに読むくらいなら一週間くらいは全然持つだろう。
どちらも譲れない良さがあるので、悩ましい。
私としては、BOOXの見た目で、中身はKindle端末、そして防水対応、容量32GBという奇跡のような端末が生まれてくれたらそれ以上のことは無いのだが、なかなかそうはいかないのだ。
それと一つ、電子書籍端末の話をするとき忘れずに言っておきたいのは、iPadなどのタプレット端末と比べるのは馬鹿馬鹿しいということである。
様々なアプリでインプットやアウトプットすることができるタブレット機器と、読書用端末の電子書籍リーダーは、土俵が全く違う。
「眩しくて目が疲れ、バッテリー持ちが悪い液晶ではなく、目が疲れずに省電力長持ちの電子インク表示で本を読む」ということに価値を見出せない人にとっては、全く必要のないものだということを添えておこう。
あくまでこれらは、本を読む習慣があるが持ち歩き本棚の管理、目の疲れなどを解消したい人たちに向けた最適解だろう。
まとめ
シンプルにKindleサービスのみを楽しむならKindle端末。
自身の用途に合わせてカスタマイズしていきたいのならBOOX。
それぞれの方向性に合わせて選ぶのもよし。
単純に見た目が好みの道具を使うというのも私は重要だと思うので、見た目で選ぶのも素敵なことだ。
電子書籍サービスを使ったことがない人、また、スマホで電子書籍を読んだが馴染まなかった人は意外と電子ペーパー端末にハマるかもしれない。
紙の本の魅力とは別のところにある電子書籍の魅力だが、どちらにせよ読書の魅力には変わりない。
ぜひ皆さんも一度検討してみてはいかがだろうか。