眠るに眠れず午前二時をまわった頃、私はふと気づく。
腹が減ってたまらない。
ラーメンが食べたい。
カツ丼が食べたい。
ハンバーガーが食べたい。
急激にがっつりとした何かを食べたくなるこの衝動は誰もが体感したことがあるだろう。
そしてその気持ちをどうにもできず、我々はなにかを食べてしまうのだ。
なぜなら我らが生きる現代には、コンビニエンスストアなるものがあるからだ。
二十四時間営業故、ポテチとかカップ麺とかがいつでも買えちゃう。
だから買っちゃう。そんで食べちゃうよね。そんなの。
しかし私の家から最寄りのコンビニはあまり品揃えがよくはない。
いいなと思った商品がすぐに店頭から消える。
期待の新商品もすぐに店頭から消える。
愛嬌があって接客が丁寧な店員さんもおよそひと月ほどで消える。
こんなに悲しいことはあるか。
それでもまあ結局はカップ麺などが商品棚から消えることはないので足を運んでしまうのだ。
たかが空腹になんて情けない。
そこで私は、そんな人たちと自分自身に一つ物申したい。
その空腹は明日の自分のためのものであって、今日の自分のための空腹ではないのではないかと。
人のものを盗ってはいけないという道理は、その対象が明日の自分自身だったとしても同じことである。
つまり明日の自分をおざなりにして今日の自分が何かを食べるということは、すなわち食欲の窃盗。
食って奪って明日へと逃げる、食い逃げに等しいことになりうる。
断じて食べてはならない。明日の朝、美味しく朝食を食べるために今をやり過ごさないといけないのだ。
そのためには今は眠るべきだ。
なんとか布団に潜り、明日の楽しみを考えながら空腹を忘れよう。
明日起きたらトーストにいつもよりバターを多く塗ろう。
ソーセージを茹で焼きにして、ぷりんぷりんで頂こう。
ブロッコリーなんかも茹でよう。ヨーグルトにナッツを撒いて蜂蜜をかけよう。
そうだ、そうしよう。それは美味いに違いない。そして私はふと気づく。
腹が減ってたまらない。