週刊少年ジャンプ

『一ノ瀬家の大罪』と『テンマクキネマ』が今週で一気に魅せてくる-週刊少年ジャンプ2023年32号(7/10)について-

2023年7月10日

表紙は『僕とロボコ』

アニメ化した時は驚いたけど、ショートアニメだと知ってなるほどとなったのに、また映画化で無茶苦茶びっくりした。

だってアニメ化したのもついこの間じゃなかったですか…?

勢いがすごいけれども、確かに面白いしなぁと納得してしまう。

ギャグ漫画枠としてはこの間までやっていた『高校生家族』が結構ツボだったけれど、あの作品のシュールさに反して『僕とロボコ』はわかりやすいギャグ漫画を軸にしながら、ニッチなパロディで読者を喜ばすパフォーマンスのバランス感覚が本当に器用だと思う。

僕とロボコ

イイハナシをストレートにやるかと思ってたけど、ロボコがぶん殴るくだりとかわかった口きくところで普通に笑ってしまった。

モツオパパの蝶ネクタイには誰も突っ込まないのも何なんだよ。

SAKAMOTO DAYS

能力っぽい技術が登場して少年漫画っぽいバトルに。

漫画での磁場操作って万能で強キャラ能力感あるけど、最強能力にはしてもらえないポジションの印象あるな。

顎にプロテクターみたいなの着けてるとはいえ、鉛玉ぶつけられたのにピンピンしてる豹タフすぎるだろ。
平助の豹への信頼度がマッハで伸びている。

アオのハコ

やっぱり松岡くんの掘り下げが始まるみたいだ。

無茶苦茶少女漫画のテンプレートの流れだけど、そもそも少女漫画のテンプレートってやっぱり普通に面白いんだなと思った。
なんだかんだで見入ってしまう悔しさがある。

そして付き合って初めての誕生日!
松岡くんがもっとかき乱してくるかと心配したけれど、本作は本場少女漫画ほどアクセルを踏み込まないのでスッと安心させてくれる。

こちら葛飾区亀有公園前派出所

こち亀の両さん過去編が書き下ろしで掲載された。

軍艦島ってこんな感じだったのかと普通に社会見学的に楽しく読めた。

お勉強要素を遠慮なくガシガシ詰め込んだ朝ドラをみているような感覚だ。

こんなにあからさまにやってるのに、お勉強させられている感じがそこまで鬱陶しくないのが、本作が長く愛された所以なのかなと見せつけられた気がする。

僕のヒーローアカデミア

お茶子ちゃん……

トガちゃんの感情を肯定してくれてありがとう……

そしてここで能力の進化。
死柄木のように能力が伝播するようになった事で状況が一転。

直接ダメージを与える個性じゃないお茶子だからこそ、トガを受け止めることが出来たのがかっこいい。

「血なんて一生くれてやる!」
かっこいい……あんたヒーローだよ…

それぞれがそれぞれの形でヒーローとしての格を手にしていくのが素敵ですね。

最後の一コマ、良いなぁ。

あかね噺

今までのあかねの無双っぷりに反して不穏な雰囲気。

父を指針にして落語家としての腕を磨いてきたからこそ、阿良川一生に"未熟な芸"と評されたパフォーマンスを超えることが出来ないという展開とか有り得そうで少し辛い。

もしかするとあかねは落語家の端くれになったからこそ、落語家の父が持っていた"足りなさ"にも向き合わなければならないのかもしれない。

あかねにとっては眩しかった父の芸が、客観的にみた時にどんなものだったのかという点は、一生とまいける兄さんで意見が割れているので、これからどんな展開が描写されるのか楽しみだ。

アスミカケル

バトルジャンキーの兄と、事勿れ主義の弟の衝突。

ここまで巻き込まれながらもMMAに少しづつ向き合っていく主人公だったけれど、兄との対立で動機が完全に成立するような流れになっていてワクワクしてきた。

呪術廻戦

獄門彊での経験が結界内の空間操作に生きた。

もっと「物理的な時間は流れていない」というセリフから時間停止能力への覚醒か?!などと騒がれていたけれど、もっと基本的なところで役立ったようだ。

凡人知識人としての日下部と、天才領域使いの日車と秤、そして次世代反転使いの乙骨による豪華な解説陣のおかげで戦闘のレベルの高さがわかりやすくて良い。
この人たち、もし『ハンターハンター』の世界にいたらヒソカvsクロロの時にも解説しに来て欲しかったな。

呪力切れの心配を悉く無視してきた五条も五条だが、宿儺の学習能力の高さもズルすぎる。

そして領域対決も互角に終わり、展延も解いた宿儺が五条の攻撃を生身で防いだ後の摩虚羅の舵輪描写…五条の鼻血…
不穏すぎる。これ無下限呪術の攻撃適応されたっぽくて怖いな。

九十九が複数の術式使用は負担がデカすぎると言っていたので、ここからついに宿儺も御厨子ではなく十種影法術に切り替えて向かってきそうだ。

五条にはここで宿儺に負けて退場するのではなくて、しっかり夏油の身体を弔って欲しいので、さらなる展開を期待したい。

『ハンターハンター』でユピーvsナックルの時のキルアみたいに鹿紫雲さんが落雷(ナルカミ)をぶちかましに来てくれないだろうか。

アンデッドアンラック

ファンが風子の強さを認めすぎて人間性が少し矯正されているに笑ってしまう。
ファインプレーすぎるだろ。

最愛の人に手をかけてしまうという悲劇は無事に回避され、しっかりシェンに不真実が付与された。

否定能力を手に入れたシェンだけれども、片目が腫れているし能力の「両眼で見る」という条件が達せずに能力なしでファンと戦う流れになったりしそう。

二週目はしっかりみんなで協力して上手いこと進んでいるので安心して読める。
「都合良すぎない?」と普通の漫画では退屈に思うかもしれないけれど、本作は二週目特権で都合よく世界を渡り歩くムーブを選んでいるので、都合のいい展開も痛快なのが読んでいて新鮮だ。

アイスヘッドギル

不気味なくらい純朴なギルだけれども、歪んだ道徳観でここまで生き抜いてきたサナを救ってパーティメンバーに入ったら面白くなりそうだ。

王道の冒険モノだけれども、もしサナが仲間になるならメンバーのジョブは「木こり」と「盗賊」という異色の組み合わせになるので、そこが生きる展開になったらと思うと少しだけワクワクしてきた。

ウィッチウォッチ

「役割」を与えられて救われたという二人の共通点を描きながら、役割がなくても自分の人生を生きていけると言い切るケイゴの強さがかっこよかった。

宮尾さんが駆けつけて三日月を見せてくれたりしないだろうか…

そしてミハルの戦闘。
少年漫画らしい剣士同士の対決。

前回のバトルシーンで「迫力がなくて退屈」といったようなことを書いた記憶があるけれど、バトル中に相手の手の内を探る描写に緊張感があって今回はしっかりと熱中してしまった。

派手でかっこいいバトルの描写が強みじゃなくても、こうやってバトルシーンをかっこよく演出することが出来るんだなと感動した。

逃げ上手の若君

敗残武士の隠れ里から昔話などの元になる伝承が生まれたのか。
こういう普通に「へぇ〜」となる情報でも楽しませてくれるのが嬉しい。

そしてそういった豆知識的なお勉強要素を入れてきたかと思ったら「規格外貴族 北畠顕家」だ。
漫画漫画した演出の派手さとのメリハリ上手すぎるだろ。

魅力的なキャラだった楠木正成が退場してしまったと落ち込んでいたけれど、しっかりキャラの立った北畠顕家がここから引っ張ってくれるようだ。

キルアオ

先週にも思ったけれど、やっぱり主人公の精神性が殺し屋じゃなくてヤクザなんだよな。

けれど急に始まったスポーツ対戦で作者も本領を発揮するかもしれない。
すでに能力スポーツが始まっている感じなので、彫刻刀を投げたりするよりもこういった事で競ったりする方が読んでいてワクワクする可能性もある。

もしこれ以降に出てくる幻獣組(ユニコーン🦄)が全員バスケ部だったら潔すぎて拍手してしまう気がする。

鵺の陰陽師

店長の「マーベラス」で無茶苦茶笑ってしまった。

もう気づけば9話まできたが、女の子キャラとの絡みを楽しむドタバタギャグ漫画として楽しませながら、幻妖云々の話を裏でちょっとずつ進めていくスタンスっぽい。

もし普通に陰陽師サイドが正しく、鵺は人間にとって倒さないといけないラスボスポジションなのだとしたら、ちょっとワクワクするのだけど、そんな『ヘルシング』みたいな展開にはならなさそう。

夜桜さんちの大作戦

最後の2ページで描かれた「あるふぁの頭髪」と「七悪の異変」以外全て茶番だった。

大胆すぎる。

こんなことが許されるんですか…?
編集は何も言わないのだろうか…

「今週も夜桜家のみんな仲良しで可愛いですね〜!」とか言っているんだろうか…

今の掲載作品の中で一番読んでいたゾッとする作品だ。

暗号学園のいろは

たゆたんがちゃんと最強格ポジションなの嬉しい〜〜〜

この前の瞬殺シーンで完全に心をぶち抜かれてしまったので最近はウキウキで読んでいます。

そしてリポグラムバトル再戦!

どうやって勝つのかと思いきや、文字の向きを変えて他の表記を代用する力技。
キタキタ!!!西尾維新だ!!!!!

漫画だからできるアイデアをガンガンかましてくるこのやかましさが癖になってきた。

そしてやっぱすごいのは「このアイデアをやりたかったのね〜」で終わらないで、そういったアイデア発揮シーンがしっかり物語を動かすような重要なやりとりとして組み込まれているところだなと思う。

たゆたんがバトルを受ける前に机の下を覗き込むようなコマが挟まれたけれども、あれはなんだったのだろうか。
そして東洲斎の幼馴染だというのに、あくまで右腕の部下っぽいスタンスで壁を作り続けているのも今回濁した布石として今後描かれるのが楽しみだ。

テンマクキネマ

面白くなってきた!!!

天幕の正体については今まで少し伏せていたけれど、そこを今回で一気に掘り下げてくれたので、急に天幕が魅力的なキャラとして光ってきた。

今まで新市目線で進んでいたから「渚」を撮ることが目的だけど、内容もふわっとしてるし主人公の動機も流され系だし…と退屈に思う要素があった。
けれども、本作全体の物語の軸となる主人公は天幕だったのかもしれない。

この天幕の白川監督との関係や映画への情熱がしっかり描かれたことで、「そんな彼から選ばれた只の映画好きの少年」である新市への信頼感がグッと出てきて興奮した。

今まで天幕のことを胡散臭そうに見ていた新市も、撮影を始めることでその脚本の腕を理解し始める。
そしてずっととぼけていた天幕も、自身の未発表作「牙」を託せるかもと最初から新市を見込んでいた。

ここが今回描かれた事で二人のバディ感が一気に増してきた。

ここまであまりハマっていなかった本作だけど、今回の話で一気に掴まれました。
こっから楽しみだ。

ブラッククローバー

びっくりするくらい仲間達がガシガシ倒されていく…

最終章以前の流れをちゃんと読んでいないのでノリ切れていない本作だけど、この全員が命を賭してでもアスタを迎えようとする流れが、この間までやっていた『マッシュル』とダブって見えて心配になる。
これ大丈夫?アスタがパティシエになって終わらない??

最新本誌で読んでいるだけなこともあって、今頑張っているキャラたちへの思い入れやバックボーンの知らなさが与えている影響がでかいな…

だけどもそれを抜きにしても、このラスボスの強さ描写もすごく大味じゃないですか…?
無限増殖とか魔法無効化とかのいわゆるチート系と、馬鹿でか範囲攻撃くらいしかしていないから「まあそんな技持ってたら強いよな」と思ってしまう。
本作ってずっとそういう感じなんですか?

しかしこれは作中に出てくる能力に理屈を求める私の読み方の問題かもしれない。

人造人間100

絢子さんの過去描写良かったですね。

「自分より弱かったけど、自分より強い人を叱れる人間だったから師匠を慕えた」っていいなぁ。

この漫画らしいキャラ設定に対して、なぜそのキャラがこういった人格形成になったか/こういった判断や行動を選ぶかをしっかり描写してくれる漫画だなと改めて思う。

100号も「あしびは治癒能力がある」という前提で過保護な立ち回りから卒業し、痛みを知ったことでさらに容赦がなくなるという強化が入ったのも良い。
単純に漫画らしい発火能力の発現だけじゃなくて、こういう経験からの立ち回りの成長も一緒に出てくるのって読んでいてワクワクしますよね。

ドリトライ

『脳噛ネウロ』を思い出すようなドーピングシーンの思い切りだ。
絵柄のブレが以前からすごく気になっていたのだけれども、こういうアクセルベタ踏みな演出の時はすごく効いてくるなと思った。(ズームパンチ初めて喰らうシーンの時とかも良かったですね)

ドーピング野郎を正面からぶっ飛ばす!という流れがここからの展開だが、主人公が会得する技がどんなものなのか。
なんせズームパンチが出た後なので、変な技が登場するのがちょっと楽しみだ。

一ノ瀬家の大罪

うわーーーーーー

しんどいのを描くのが上手すぎる。

颯太の謎が引っ張られるのは少しヤキモキするけども、以前と今の家族関係は修復していっているようで何も解決していないままだという事を、改めて突きつけられる描写のリアルさに痺れた。

お父さんの頼りなさや優柔不断さ、お母さんの不安定さと圧力、妹の身勝手さと被害者意識…
互いに不満を持ちながら、それぞれが家族の居心地の悪さを感じつつ、その居心地の悪さに加担している。
誰かの存在や誰かの行動が決定的に家族の形を歪めているのではなくて、それぞれの持つ歪みの上で家族という形を保とうと努めないと、「家族」は簡単には維持できない。

それをここまでしっかりこの1話で描き切るのがすごい。

ここ最近の展開は、颯太の存在についての詳細をチラつかすものの、進展している感覚が薄かったので正直退屈してきた節はあった。
けれども、今回のこのシーンまで全員が家族と向き合う事を避けていたということがハッキリと描かれたので、「そりゃ家族の問題なんだしこのシーンにたどり着くまで進展できないよね…」と納得した。

今週は本作にアンケート一位で入れます。
なんとか打ち切られずに最後まで読ませてほしい。

まとめ

今週は以前までそこまで惹かれていなかった作品や、最近イマイチだと思っていた作品がグッと心を掴んでくる展開が多かった。

『テンマク』『人造人間100』『一ノ瀬家』あたりが特にそうだ。

『呪術廻戦』や『ヒロアカ』の最終決戦はもちろんずっと面白いし、『暗号学園』や『アンデラ』もグングンとアツい展開を広げてくれる。

現在の看板作品たちがこぞって終盤というのもあり無茶苦茶面白いので、連載してまだそんなに長くない作品はぼちぼち楽しめたら十分満足だななんて思っていたけれど、他の作品も面白さがグッと感じられるようになってきたので、無茶苦茶読むのが楽しいです。

『テンマクキネマ』と『一ノ瀬家の大罪』は今週でだいぶ感動しました。
これからもものすごく楽しみです。

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