週刊少年ジャンプ

キチンと努力して結ばれる『アオのハコ』と、チョロすぎる『テンマクキネマ』-週刊少年ジャンプ2023年30号(6/26)について-

2023年6月26日

表紙は新連載の『アイスヘッドギル』

看板作品たちが軒並み最終章に入り、「これらの作品が終わったらどうなる?!」と騒がれているジャンプ。

新連載たちが次のジャンプ代表を担うポジションまで育っていく盛り上がりを見届けることができたら嬉しいなと思う。

打ち切りダービーと同様に、定期購読の醍醐味ですね。

アイスヘッドギル

『ヴィンランドサガ』にファンタジー成分を大盛り混ぜ込んだような第一印象。

ページ数的にも情報量たっぷりの1話でこれからの冒険の布石もたっぷり。

技を決めるシーンが地味だなと思うのは私が『BLEACH』とかが好きすぎるせいなのだろうか?
本作然り『人造人間100』とかでも、せっかく技を決めるのに大ゴマでドーンと見せるみたいな演出ってあまり新連載では見ないし、今っぽくなかったりするのかな。

父の書記、反逆の秘密を明かすための冒険劇。
王道ファンタジーで進みそうなので案外今のジャンプに足りていない成分な気がして楽しみになってきた。

SAKAMOTO DAYS

豹vsクマノミ。

久しぶりにちょっと能力っぽいような要素も入ったバトルだ。

道路の看板に張り付いて、バスの天井越しにぶん投げるシーン、かっこい〜!

やっぱり本作は街中でド派手に戦ってナンボですね。

ウィッチウォッチ

てっきりギャグ回になると思いきや、急にストーリーを動かしてきて驚愕した前号。

穴を閉じる隙間の光と月を重ねて、"新月の日"をやるとは思わなかった。

バトルはあまり見栄えが良くないからずっと日常ギャグをやってくれとか言っていたけれど、無茶苦茶ワクワクさせられる開幕でしっかりテンション上がってしまって悔しい。

アスミカケル

最近の主人公は巻き込まれ系がまた流行っているのだろうか?

なろう系のアプローチで『マッシュル』や『キルアオ』が低年齢層に受けている事を思うと、あまり溌剌としていてまっすぐな主人公像は今時ではないのかもしれない。

お約束みたいなやり取りが鬼の文字数で進んで行ったので、結構しんどいなと思いながら読んでいたけれども、格闘技シーンが始まってから途端に読みやすいし面白い。

もしかして競技中の心理戦的な文字数を日常シーンでも採用してしまっているだけ…?

鵺の陰陽師

ラブコメギャグで行くんだな!と思っていたら、今度は急にバトル展開復帰を匂わせてきた。

バトル展開を待ち侘びていた読者は果たしていたのかどうか気になる。

けれども、ここでずっとなあなあにしてきた陰陽師設定や"令力"などの詳細がわかるのかもしれない。

まあわかったところでどうなんだという気もするけれども。

このバトルで鵺の力についてさらに理解が深まった上で、以前のように戦闘をカットして2ページで幻妖が登場/退治されるような展開を続けていたら爆笑すると思う。

アンデッドアンラック

前のループで否定者同士の戦いを楽しんでいたシェンだが、今回は否定能力を持たずして否定者を倒していくところが見られて嬉しい。

しかも前回ではシェンに守られるものだったムイちゃんがバチボコ強くなって登場してきた。
二周目の話でも前回と違うことが起きるのを"不運"能力のイレギュラーとして自然に受け入れられるの便利だな。

しかしムイちゃんとの戦いで不幸が起こるとなると一体どうなってしまうのか…

もしかして今回はシェンではなくムイが最初から不真実を会得するみたいな流れもあり得なくないのだろうか。

パーティー集めがテンポ良くてずっと面白いんだけど、これ途中から読み始めた人はあまり面白さわからないよな…とも思う。

なのでみんなアニメも始まるし単行本買って読んでください。無茶苦茶面白いです。

アオのハコ

今週やっていることはジャンプっぽいラブコメなんだけど、ここに至るまで部活を頑張ったり他の女の子に現を抜かさずに向き合ったり先輩と張り合ったり想いを届けに走ったりをした上で、この幸せなんだよな……

ハーレム漫画はこういった努力や対人関係をすっ飛ばしてこれをやっていると思うと「なんだその漫画」となる。

「努力友情勝利!」と歌っているジャンプでの恋愛が今までほとんど努力もせずに大勝利していると思うと「恋愛も努力しろよ」と思うし、そこの穴を埋めてくれたのは本作の大きな存在意義だと思う。

しかし悲しいことに人間は"知らない世界"をフィクションとして生み出すことはできても、"知らないコミュニケーション"をフィクションとして生み出すことはできないので、ここまでの解像度で高校生活の恋愛をかけるのは、こういったコミュニケーションを間近に見てきた人間だけなんだよな…

キルアオ

フォロワーが指摘していて笑ったのだけれども、伝説の殺し屋のはずの主人公が素人の尾行に全く気づけたなかったのダメだろ。

ここにきて「本当に中学生…?」みたいな障害が立ちはだかるわけだけれども、これっておしゃぶりバトルなんかやるよりもまず最初にぶつかる壁じゃないのか。

けれどもなぜだか本作は割とずっと掲載順が高い。
なろう系が千切っては捨て、千切っては捨てのハイペースのサイクルでヒットする現代において「中学生だけど実は最強の殺し屋」という要素は中学生読者の心をぶち抜いているのかもしれない。

設定の整合性とかをネチネチ気にする大人たちはハナからターゲットではないのかもしれない…

僕のヒーローアカデミア

トガヒミコの名前表記が「被身子」だということが明かされた。

同様になぜヴィラン名をつけずに本名で活動していたのかもここで触れられるようだ。

お茶子がちょっと手を差し伸べた程度で晴らされる闇ではない事をしっかり描かれてしまったので、こっちも胸が痛い。
「そっちのルールで私を可哀想な人間にするな」
これってすごく大きな叫びだな…

簡単に済まされないよね、という問題を簡単に済まさずに解いていくかを、轟家の話や、かっちゃんの謝罪などでじっくり描いてきた本作なので、きっとトガの救済も簡単には描かれないだろう。

せめて救いはあってほしいと思う…

僕とロボコ

まさかの『孤独のグルメ』パロディ回。

全てを失敗しまくる『孤独のグルメ』ってこんなに面白いんだ。

暗号学園のいろは

流れ的にフルスコアで勝つとは思っていなかったので、ここであっさりと決着がついて驚いた。

東洲斎さんの人望の厚さがどんどん魅力的に見えてきて良い。

「この大ゴマ、いるか…?」と思うような大ゴマをよく出してくる本作だけれども、このバカっぽい流れをバッチバチに決めてくる演出もカッコよく馴染んできた気がする。

逃げ上手の若君

ついに尊氏と戦うための準備が進む!

内部工作コンビも結成されてますます盛り上がりそうな雰囲気。

あかね噺

落語はよく「嘘はいかにも本当らしく、本当はいかにも嘘らしく」と言われるようだが、そこにさらに説得力を感じさせられるような演出で面白い。

ひかる、かっこい〜〜〜!!!

あかねが父の背中を思い出して仕上げた演目がどう描かれるかばかり気になっていたけれども、こんなの書かれたらひかるに勝って欲しくなってしまうな…

夜桜さんちの大作戦

「悪ふぁ」で良いんですか…???

新章に入ってから、あんまに『NARUTO』にハマれていないのに無理して『BORUTO』を読んでいるような状態になっている。

置き去りにされてるのは四怨たちだけじゃないですよ。僕もです。

マッシュル

全然「みんなのおかげです」じゃなかっただろ。

どの時間軸でもお前が圧勝してたんだから。

一ノ瀬家の大罪

ついにもう一人の家族である颯太に触れられる時がきた。

カメラ壊されるくだり無茶苦茶しんどいな…

夢から現実に戻ってきてからもなんだか家族に対する気味の悪さが残り続けていたけれども、こういうことを強制する親たちだったのね…

妹が年上とつるんでいるのも颯太への憧れみたいなものによる影響があったりするのだろうか?

そして急に颯太について明かすおばあちゃん。

なんで颯太だけこの家におらず、家族たちの記憶に残っていないのか?

物語の本筋として大きな鍵がやっと明かされ、しっかり面白くなってきた気がする。

これで来週また夢オチリセットで肩透かしくらうなんて真似しないでくれよ。

ドリトライ

生野は無事にライバルポジションに。

事情があったとて妹に暴力を振るっていたような奴がそんなことで反省して良いお兄ちゃんに戻れるのか?と少し冷めた感じで見てしまうけれども、そういう温度感の漫画ではないので気にしたらダメだろう。

主人公はここまでメンタルのタフさで耐久戦をしてきたけれども、ここから技を習得するようだ。

しっかりと格闘漫画をやるのであれば、「技」というよりもまず基礎の「技術」を覚えて、読者にも競技の面白さをわかってもらう流れをやりそうだけれども、ここで「技」を覚えるということは、この漫画は競技漫画というよりもガッツリ少年漫画的に展開していきそうだ。

まあウォーハンマーでズームパンチを打ってきた時点で真面目に競技漫画をやるわけないか。

黒岩の試合を見て技を学ぶ展開になったが、黒岩と戦う挑戦者が"天才中の天才"と言われているのに顔からして噛ませだし、そもそも名前も出てこない。
と思ったら本当に無茶苦茶噛ませだった。

豪快に進めていくテンションなのか、ただ単に色々と雑なのかわからなくなってきた。

ブラッククローバー

ラスボスがあまりにも雑に強すぎる。

無限増殖ができて、"正義"が自分中心に傾いて攻撃を無効化できるらしい。

前々号のアスタはあんなに合流しそうだったのにまだ先になりそうだ。

『ONE PIECE』『呪術廻戦』『ヒロアカ』の次号休載予告は「うわー!次号休みなのか!気になるなー!でもゆっくり休んでくれー!」という複雑な惜しさを感じるが、本作は正直「そうですか」くらいのテンションでしか受け取れない。

全部通して読んでいた人はこれキチンと面白いんだろうか…?

テンマクキネマ

倉井さんチョロすぎるだろ。

しかしやっと「渚」の撮影も本格的にスタートする。

今までは流されるように動いでいた新市だけれども、雪尾監督に完成作品を見せるという約束をしたこともあり、制作に向けて打ち込んでいく。

なんだかんだ撮影シーンは結構面白かったので、本格的にカメラを回していくのが楽しみだ。

人造人間100

お兄ちゃん、だいぶ歪んでいるな。

思っていたよりもずっと早く綾子さんを見つけることができた。

だけど「助けて?」の感じ、偽物っぽいな…

ベタだけどもこういう「どっちが本物?」系の引きは普通に次回が楽しみになる。

けれども最近はずっと掲載順がビリでパッとしない展開が続いているので打ち切られそうな気配がまたしてきている気がする…

ずっと怪しい感じだった『一ノ瀬家』は颯太の存在が明かされたことで少しだけ掲載順が上がったけれど、本作はここからどうやって打ち切りから逃げ切るのか…

まとめ

ここ最近新連載作品がずっとパッとしない状態が続いているような印象。

前作『タコピーの原罪』で大きく期待をかけられていた『一ノ瀬家の大罪』は、構造を複雑にしすぎて結構読むのが疲れる作品になっている為、あまりジャンプ本誌では連載開始当時よりも盛り上がっていないのがなんとも悔しい。
個人的にはすごく好きな振り回され方なので、最後まで掻き切って欲しいと思う。

それに反して『暗号学園のいろは』は学級兵長争いでは掲載順が低迷していたところをなんとか抜けて上位に登り始めた。
前々から「こんなに手の込んだ作品で絵も演出も上手いのに最下位はないだろ」と思っていたので嬉しい。
とはいえ序盤でクラスメイトがワラワラ出てきて、覚えきれてないままに進められたマダミス戦は結構しんどかったので、単純に展開やキャラがわかりやすくなったことが大きそう。

ここから『呪術廻戦』も『ヒロアカ』も完結したらジャンプはどうなるのか。
また暗黒期が囁かれる時期が来るのかもしれない。

ひとまず、次号再開の『呪術廻戦』をバチボコ楽しみに待っています。

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