漫才

[M-1グランプリ2002]ダイノジ -ネタ書き起こし/審査/振り返り-

2023年5月1日

M-1グランプリ2002

3組目

ダイノジ

ネタ

大谷
「大分県からやってきました、ダイノジです」
「僕らは中学校の時から幼馴染なんですけど、非常に対照的な二人でして」

大地
「全然タイプ違いますからね」
「何が一番違うかって言ったら、大谷さんは独身なんですけど、僕は結婚してますから」

大谷
「シッ!(口に指を当てる)下ネタやめろ…!」

大地
「言ってねえよ!」
「やらしさゼロだろ今の。なんだったら」

大谷
「結婚してもいい事もあればね悪いこともあるでしょ」

大地
「悪い事もあるね。ファンレターの数がね、結婚したことで一気に減った」

大谷
「昔は同じくらいだったんですよ量的にも。ライブが終わってから二人で比べ合いっことかしてね」

大地
「やったね」

大谷
「ファンファンファンファ〜(回想に入るようなメロディ)」

-二人でその場でぐるっと回る

大谷
「まあでもですね」

大地
「意味ねえじゃん!なんだったんだよ今の!」
「ぐるりって回っての恥ずかしいよ」

大谷
「すみません、前脚で叩くのは…」

大地
「前脚じゃねえよ!手だよ手!」
「見て!おにぎり!いっぱい食べる手!」(パクパク口に運ぶ仕草)

大谷
「う…お父さんが豚になっちゃった…」

大地
「『千と千尋』関係ねえよお前」

大谷
「あ、首なし」

大地
「カオナシ!」

大谷
「あ、ネコバス」

大地
「『トトロ』になってるじゃねえか」

大谷
「あ、トトロだトトロ」(大地にハグしようとする)

大地
「トトロじゃねえよ」

大谷
「あ、タマちゃんだ」

大地
「タマちゃんじゃねえよ!いつ出てきた俺は!」

大谷
「でも羨ましいのはね、奥さんからプロポーズしたんですよ」

大地
「僕にゾッコンなんですよ」

大谷
「ハヤクケッコンシテヨ!」

大地
「何人だよ!」
「日本人だよ、カタコトじゃねえよ」

大谷
「リョウシュウショキルヨ〜」

大地
「切らねえよ」
「なんの仕事してるんだよ」

大谷
「最近はあんまり一緒に飯とか食ってくれないでね」

大地
「それもゴメン!メンゴ!」
「もう家帰ったらミツエちゃん待ってるからね」
「こうやって、あ〜疲れたな〜って」(帰宅する仕草)

-大谷、目を向いて下を出しながら、台所で料理をしている仕草

大地
「帰ってきたよ!俺、仕事終わって俺、帰ってきてよ!(デレデレ)」

大谷
「あ、奥さんおくに居ますよ」(立ち去る)

大地
「お前誰だよ!」
「なんで俺は間男に愛想振りまいてるんだよ」

大谷
「リョウシュウショキルヨ〜」

大地
「切らねえっつってんの」
「なんの仕事してんの」

大谷
「ニッポンジンダイスキ〜」

大地
「アニータじゃねえかよ」

大谷
「いや〜1000万欲しいです」

大地
「1000万欲しいね」

大谷
「1000万あったら結婚できますから。なんたって結婚はお金ですから」

大地
「いや違う、全然分かってない」
「結婚ってのは頼り甲斐のある男がいた方がそれでいいのよ」

大谷
「あ、そうなんだ」

大地
「そうそう。たとえばこの現場が火事になったとするじゃない。そしたらみんなをレスキューできるかって」

大谷
「お前は無理だよ」

大地
「無理じゃねえよ馬鹿!」

大谷
「お前は迅速じゃないもん。体重が不自由だもん」

大地
「直接デブって言ってくれた方がまだいいよ」
「違うよお前!俺がなんのためにオレンジのツナギきてんだよ」

大谷
「え、それレスキュー用?」

大地
「レスキュー用よ!」

大谷
「いや俺オートバックスに媚びてるのかなと思ってた」(番組のスポンサー)

大地
「だとしても言うなよそこで」


「じゃあここでレスキューできますか?」

大地
「できるよ!」

大谷
「火事だ!」

大地
「お!火事だ!みんな!火事だ!」

-大地がみんなに呼びかけ始める
-大谷は大地の前でガードマンのように腕を広げてたつ

大地
「火事だ!火事だ!すげえ燃えてるぞ!」

大谷
「すみません、すみません」(大地を諌めるように立ち塞がる)

大地
「俺野次馬じゃねえかよ」
「野次馬じゃなくてレスキューさせろよ!」

大谷
「あ、レスキューね。俺はどうしたらいい?」

大地
「燃えてるんだよ!水水!」

大谷
(プール遊びのように)「バシャー!バシャー!」

大地
「あ!冷たい冷たい!」
(笑顔で)「殺す気か♪」

二人
(カメラに向かって)「ヤー♪」

大地
「ヤー♪じゃねえよ!」
「なんでダチョウ倶楽部のリアクションなんだよ!関係ねえよ!」

大谷
「レスキューか」

大地
「あっ!人がいるぞ!人が!」

大谷
「あれ赤ん坊じゃないですか…?!」

大地
「ほんとだよオイ…!!」

大谷
「こうして見たら赤ん坊、欲しいなぁ」

大地
「おい、なに黄昏てんだよ」

大谷
「あ、先輩」

大地
「赤ん坊欲しがる前に、まずは相手だろ」(小指を立ててウィンク)

大谷
「そうでした」

二人
「アハハハハ!」

大地
「笑ってる場合じゃないぞ、(腕時計を見る)オペの時間だ」

-二人ではけようとする

大地
「ここどこだよ!」
「オペってなんだよ!びっくりしたわ今!」
「なに黄昏てんだよお前!」

大谷
「すみません、じゃあ俺が上がってきます」(梯子を登る仕草)
「赤ん坊捕らえました!」(バンザイの姿勢で持ち上げる)

大地
「よーし!」

大谷
「トラーイ!」(地面に叩きつける)

大地
「ワーオ!」
「ノーサイド♪」
「目指せ花園♪ どこ行ったの前園♪」
「知らねえよ!!!!」

大谷
「前園でてくるとは思わなかったな〜」

大地
「知らねえよ!サッカーしてんだろがよ、前園は!」

大谷
「先輩、どうしましょう!赤ん坊が呼吸してません!」

大地
「あたりまえだお前がトライしたからだろ」
「人工呼吸!人工呼吸!」

-大地が屈んで人工呼吸をしようとする

大谷
「そいや!ドゥンドゥン♪ドゥドゥンドゥドゥン♪」

-棒立ちのまま『一世風靡セピア』のイントロを歌う大谷
-それに合わせてリズムを取って揺れ出す大地

大谷
「そいや!ドゥンドゥン♪ドゥドゥンドゥドゥン♪」
「デンデンケデンデン♪デンデケデンデン♪デンデンデデン♪」
「そいや!デンデンケデンデン♪デンデケデンデン♪デンデンデデン♪」

-次第にしっかり踊り出す大地
-イントロ分をしっかり全部踊り切る

大谷
「デッデーン!そいやそいやそいやそいや!」

大地
「ばあ!」

大谷
「いや〜上手い!」

大地
「バカかお前!なんで『一世風靡セピア』踊んなきゃいけねえんだよ!」

大谷
「いや〜わかりましたよ僕」

大地
「なんだよお前」

大谷
「僕ね、将来の職業は家事手伝いにしようと思います」

大地
「なんでだよ」

大谷
「火事、手伝いに行きましょう」

大地
「もういいよ」

審査

会場審査員

立川 談志70点
中田 カウス84点
島田 洋七81点
ラサール石井78点
大竹 まこと78点
松本 人志60点
島田 紳助83点

総得点

534点

振り返り

大竹まことからは「一世風靡セピア」のくだりが長すぎると指摘されてしまった本ネタ。

舞台でもなければ生放送でもないシチュエーションで見ている私としては「いつまで踊ってるんだよ」「これ『一世風靡セピア』のイントロじゃんか」「イントロ全部踊り切るのかよ」と全部の要素がどんどん面白く感じてきてしまったので、結構ツボだった。

赤ん坊のくだりも、大地の方が勝手に別のドラマに走っているのに「ここどこだよ!」と切り崩すところは無茶苦茶笑ってしまった。

ノリツッコミをするのかとおもいきや、ノった大地の方が脱線してセルフツッコミをする。

このスタイルはダイノジの専売特許ではないだろうか。

この脱線の無駄なドラマ感や一発ギャグのしょうもなさ、テンポ感などはどれも肝がすわってないとできない攻め方だと思うので、舞台上での経験値の高さが見えてかっこいいネタだった。

大地の見た目いじりを前半でたっぷりしてから結婚のくだりに入るのだけれども、よくあるデブいじりを手数多く打つような感じだったので、この結婚や火事のくだりをもっとたくさん見たかったと思う。

何よりも漫才をしている二人の楽しそうな空気感がとても魅力的だった。

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